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写真:キリマンジャロ山麓に暮らすチャガ民族が編み出した独自の農耕システム“Kihamba”。様々な樹木と作物が混在しており、私たちが考える「畑」のイメージとは大きく異なる。 キリマンジャロ山で長くキリマンジャロコーヒー栽培を支えてきたのは、山に暮らすチャガ民族によって営まれている“キハンバ”と呼ばれる屋敷畑です。キハンバは農畜林を上手く組み合わせ、そこにさらに伝統水路を組み込むことで、年間を通した作物栽培を土地を痩せさせることなく、持続的に行うことを可能としてきた優れた農法です。 そしてこのキハンバというシステムを支えてきたのが、村の上部にある森でした。その森はさらにその...
作成日時:2024/02/19 00:09
更新日時:2024/02/19 00:09
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今年は世界で注目されるような選挙が続きますが、タンザニアも今年は地方選、来年は大統領選を含む総選挙が控えており、すでにザワザワした雰囲気が漂っています。 そんな中、つい先日、キリマンジャロ山の麓の町モシに与党CCM(革命党)の大物(イデオロギー・広報局書記長)がやって来ました。地方自治体の首長らに檄を飛ばし、地元住民の不満を吸い上げ、票に繋げようと全国を回っているのです。 大衆集会の会場には数千人の人々が集まり、この大物が何を言うかに耳を傾け、また彼らの訴えを聞いてもらおうと手を挙げ、声を上げ、必死にアピールします。 写真:集会に集まった人々 キリマンジャ...
作成日時:2024/01/30 16:57
更新日時:2024/01/30 16:57
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今年もキリマンジャロ山麓の村々で村人たちによる大雨季植林が取り組まれています。今年の植林は、タンザニアで2年続きとなる小雨季の降雨不足のため、苗木の確保に非常に苦労しました。当初確保できる見込みだった苗木の多くが枯れてしまったためです。このため当初予定していた苗木配布を諦め、すべて植林に回すことで対応しています。 植林をいつ始めるかも難しい判断でした。キリマンジャロ山では早ければ3月初旬から雨が降り始めますが、今年は4月になっても雨が降らず、中旬になってやっとパラパラと降り始める程度でした。こんなことではとても植林は無理できないと、しばらく様子を見ることにしました。ところが、4月...
作成日時:2023/06/12 16:53
更新日時:2023/06/12 16:53
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昨年10月、タンザニア政府は同国の全世帯のうち約90%の家庭がバイオマス由来のエネルギーに頼っていると発表しました。その内訳は木(薪)が63.5%、木炭が26.2%。残り10.3%のうち、ガス(LPG)が5.1%、電気が3%、その他が2.2%となっています。 タンザニアの森林減少の最大の原因は、日々の煮炊きに用いられる薪炭材確保のための森林伐採であり、昨年の国勢調査で示された3.2%という高い人口増加率と相まって、森林への圧力が一層強まることが懸念されます。 キリマンジャロ山に暮らすチャガ人は、“キハンバ”と呼ばれる農畜林混合の伝統的な農法を営んでいますが、そこでは樹木と様々な...
作成日時:2023/02/01 18:32
更新日時:2023/02/01 18:32
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先日、キリマンジャロ山麓のロンボ県で、作物の食害など地域住民を長年苦しめてきたヒヒやサルに対し、天然資源観光省が銃による追い払い、駆除に乗り出したとの報道がありました(※)。 ※ 現地紙「ムワナンチ」 1/8付電子版(スワヒリ語): “Rombo kutumia risasi kuwafukuza nyani” (ヒヒの排除に銃弾を使用) https://www.mwananchi.co.tz/mw/habari/kitaifa/rombo-kutumia-risasi-kuwafukuza-nyani-4079862 ロンボ県における獣害は、かつて国立公園と村の間...
作成日時:2023/01/12 11:19
更新日時:2023/01/12 11:22
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10/21に発生したキリマンジャロ山での山火事の模様(10月25日 The East African電子版) 先週金曜日にキリマンジャロ山で起きた森林火災は、いったん納まりかけたものの強風に煽られ、再び火が盛り返しているという。 植林で木が大きくなるまでには何年もかかりますが、燃えてしまうのは一瞬のことで、一刻も早く完全鎮火にすることを願っています。 その一方で、今回の森林火災でまたぞろという議論が先進国の専門家から出されています。それは「森林火災は多分に人為によるものであり、国立公園を拡大した施策で森は守られるようになった。今後国立公園はさらに広げられなければならない...
作成日時:2022/10/27 14:50
更新日時:2022/10/27 14:50
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写真: キリマンジャロ山の森に沿った村々のリーダーを集めた会議の模様 キリマンジャロ山で山麓住民が利用してきた森“ハーフマイル・フォレスト・ストリップ(HMFS)”。HMFSは原生林と村落エリアの間に、まさにバッファゾーン(緩衝帯)の森として巨大な山のほぼ半周をぐるりと取り巻いていました。 2005年にそのHMFSまで国立公園が拡大されると、山麓住民の生活は窮地に追い込まれてしまいました。彼らにとってHMFSは生活体系に組み込まれた森であり、日本でいう里山に近い機能を果たしてきたからです。 森(HMFS)は煮炊きのための薪を供給していただけでなく、家畜の餌となる枝葉の採...
作成日時:2022/10/24 17:18
更新日時:2022/10/24 17:18
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裸地化した尾根で植林に取り組む子どもたち キリマンジャロ山の村々で4月に始まった今年の大雨季植林ですが、8月も終わろうという現在も続けられています。雨が予想より長く続いているためで、9月初旬に10村目となる最後の村での植林を終え、今期の大雨季植林を完了する予定です。 これまでに植えられた苗木は約7千4百本、このうち約6千本の苗木がカウンターパートのTEACA(Tanzania Environmental Action Association)から、残りが同じくHAKIMAMA(Harakati ya Mlima Kilimanjarop kwa Mazingira na Mai...
作成日時:2022/08/28 21:03
更新日時:2022/08/28 21:03
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写真: どこかのキャンプ場? 美しい木立が立ち並ぶこの写真、まるでどこかのキャンプ場にでも来たような気分にさせられます。ここはキリマンジャロ山の「かつての」森林保護区の「一部」。「かつての」と書いたのは、キリマンジャロ山ではその自然(森)を守るためとして、山麓住民が利用していたバッファゾーンの森を含む森林保護区が国立公園に取り込まれたためです。 ではここは国立公園なのかといえば、実はそうではありません。森林保護区への国立公園の拡大が行われた際、その中にあった、政府の運営する森林プランテーションだけは国立公園から除外されたためです。山麓住民の利用は排除し、政府が木材伐採を行...
作成日時:2022/03/27 02:04
更新日時:2022/03/27 02:04
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村人たち自慢の “エデンの森” のロゴマーク タンザニアではいま、世界遺産であるンゴロンゴロ地域からのマサイの人々の排除が大きな論議を呼んでいます。 同じ世界遺産であるキリマンジャロ山でも、自然を守るためとして、地域の人々が生活に欠かせない生活の森(日本でいう里山の森)から排除されてすでに15年以上が経ちます。 山麓の村に暮らす村人たちは、半世紀にもわたって木を植え続け、森を守ってきました。それにもかかわらず、タンザニア政府はおろか世界の様々な機関や人々から「人間(山に暮らしている人々)が悪い」、「国立公園を拡大して、人が利用できないようにすべき」との圧倒的な声の...
作成日時:2022/03/01 01:58
更新日時:2022/03/01 01:58
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アフリカ大陸には氷河を擁す山、山地が3つあります。タンザニアのキリマンジャロ山、ケニアのケニア山、そしてウガンダとコンゴ民主共和国の国境にあるルウェンゾリ山地です。 世界気象機関(WMO: World Meteorological Organization)は、10月にリリースした報告書 “ Climate change triggers mounting food insecurity, poverty and displacement in Africa ” において、これら3つの山、山地のすべてが2040年代のうちに氷河を消失する可能性があるとしています。 ...
作成日時:2021/11/01 05:31
更新日時:2021/11/01 05:31
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キリマンジャロ山の裸地化した里山の尾根で植林に取り組む村人たち(1994年)。ここかつての政府の森林プランテーション跡地。再植林されることなく放棄された。 7月に出された天然資源観光省大臣の命令によって、キリマンジャロ山の住民は村の上部にあるかつての里山の森(ハーフマイル・フォレスト・ストリップ)の利用を禁止されました。 しかしその森は生活体系の一部であり、住民たちは森に入る以外に選択肢がありません。これに対し、利用禁止となった森(国立公園に編入)を管理する国立公園公社の兵士によってすでに100名以上の村人が逮捕されています。この人数は当会が把握している範囲での数字なので、実数...
作成日時:2021/10/14 19:55
更新日時:2021/10/14 19:55
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大統領の到着を待ち続けるキリマンジャロの住民たち 7月13日、天然資源観光省大臣によって出されたキリマンジャロ山麓住人に対する旧バッファゾーンの森“ハーフマイル・フォレスト・ストリップ(以下HMFS)”の利用禁止命令。 この命令が出された後、今度はモシ県知事がKINAPAを伴い森林に沿う村々に警告して回り、さらなる圧力をかけてきました。県知事が放った「これは天の声だ」という言葉と村人たちに有無を言わせぬ態度には驚くほかありませんでした。 ある村の村長は「政府は我々に戦争を仕掛けるつもりとしか思えない」と吐いて捨てるように言いましたが、山麓住民と政府(武装ワーデンを...
作成日時:2021/09/17 00:34
更新日時:2021/09/17 00:34
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衛星画像によるキリマンジャロ山と森の様子 天然資源観光省大臣は7月13日、キリマンジャロ国立公園に取り込まれた旧バッファゾーンの森“ハーフマイル・フォレスト・ストリップ(HMFS)”での観光以外のすべての人為活動の即日禁止を命じました。 ここでとくに人為活動として言及されているのは、薪と家畜のための飼料草の採集です。HMFSは、キリマンジャロ山の森林に沿って暮らす地域住民にとって日本の里山と同じで、長い年月をかけて彼らの生活体系の中に組み込まれきた、重要な生活維持システムの一つです。その存在は彼らの生存に欠かせません。 HMFSは2005年、世界遺産キリマンジャロの自然...
作成日時:2021/07/16 16:43
更新日時:2021/07/16 16:46
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キリマンジャロ山に暮らす村人たちがあたかも森林の破壊者であるかのような発信を、相変わらずキリマンジャロ国立公園公社(KINAPA)が続けています(以下URL記事)。 https://www.ippmedia.com/en/features%20%20dead-wood-collectors-turn-out-be-illegal-loggers-tanzania%E2%80%99s-top 記事では村人たち(女性)を信用して国立公園での薪集めの機会を与えてあげた(offer)のに(週2回、各3時間)(※1)、その一部は信頼を裏切り生木を切るばかりか、男と結託して違法伐採ま...
作成日時:2021/06/04 16:28
更新日時:2021/06/04 16:28
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マグフリ大統領の死を一面で報じる現地新聞“Mwananchi”(2021年3月18日付) 第6代タンザニア大統領に就任したサミア・スルフ・ハッサン前副大統領 一体誰が想像できたでしょうか。その剛腕から“ブルドーザー”の異名をもって知られた第5代タンザニア大統領ジョン・ポンベ・マグフリ氏の死。3月17日深夜、タンザニア政府がマグフリ大統領が持病の心臓疾患により亡くなったと発表するや、そのニュースはあっという間に全土に広がりました。村人の中には「フェイクニュースに決まってる」と言って信じようとしない者もいました。それほど突然のことでした。 しかし実は、想像できないことはな...
作成日時:2021/05/29 14:40
更新日時:2021/05/29 14:43
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10月11日にキリマンジャロ山の登山ルート・マラングルート上で大規模な森林火災(写真)が発生して1カ月半。炎は推定95.5平方キロメートルといわれる植生を焼いて鎮火しました。 以下の当会フェイスブック記事でも触れたように、森林火災自体は昔からキリマンジャロ山で発生していました。 ・フェイスブック「キリマンジャロ山で大規模な火災発生」 → こちら しかし減り続ける降雨と乾燥化のため、発生する火災の頻度は増える傾向にあります。さらに今回の火災は規模も大きく、キリマンジャロ山にある植生の約6~7%ほどが失われたと考えています(以下の記事でタンザニア国立公園公社...
作成日時:2020/11/28 21:45
更新日時:2020/11/28 21:45
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写真: キリマンジャロ山とその森 タンザニアの隣国モザンビークでJICAが35億円のODAを使って進めてきた大規模農業開発プロジェクト「プロサバンナ事業」が中止されました。 地域住民の声を受け止めることなく、現地裁判所から違憲の判決が下されようとも、それらを顧みることなく進められてきたこの事業。中止は当然の判断なのですが、それでも本当によく止まったものと思います。プロサバンナ事業が開始されて8年、この事業の問題点を指摘し続け、声を上げ続けた方々の不屈の努力の結果だと心から敬意を表したいと思います。そして命の危険さえある中で反対の声を上げてきた現地農民の方々の恐怖はいかばか...
作成日時:2020/08/11 11:15
更新日時:2020/08/11 11:15
公開
キリマンジャロ山で村人たちが長年植林に取り組み、緑をよみがえらせてきた“エデンの森”(写真)。村人たち自慢の森とあって木々も誇らしげに見えます。 村人たちがコツコツと植林に取り組んで長いところでは半世紀。木々の樹高も植林された年代によって様々で、彼らが地道に積み重ねてきた植林の歴史を感じます。 大きな木はすでに樹高20mを越え、いまではそれらの木から採取された種子で次世代の苗木が育てられています。 とはいえ、キリマンジャロ山では自然保護とそこに暮らす人々の生活との間に深い溝が横たわったままです。世界
作成日時:2019/10/23 00:00
更新日時:2019/10/23 00:00
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2019年度は、2018年度に実現できなかった森林保全・管理のための地域連携協議会の政府登録に最優先で取り組みます。登録は実現できると見込んでいますが、森林管理を住民主導で行うことに対し、どういう政治力学が働き、政府が最終的にどう判断するかは、結論が出てみないと分からないというのも事実です。 一方、最終的に目指すべき国立公園拡大によるキリマンジャロ山の地域住民に対する人権、生活権の侵害状況の解決は揺るぎないものであり、政府登録の結果によらず、対応策を引き続き探っていきます。 2019年度は、2017年
作成日時:2019/06/03 00:00
更新日時:2019/06/03 00:00