キリマンジャロ山での大雨季植林が取り組まれています!

 

今年もキリマンジャロ山麓の村々で村人たちによる大雨季植林が取り組まれています。今年の植林は、タンザニアで2年続きとなる小雨季の降雨不足のため、苗木の確保に非常に苦労しました。当初確保できる見込みだった苗木の多くが枯れてしまったためです。このため当初予定していた苗木配布を諦め、すべて植林に回すことで対応しています。

 

植林をいつ始めるかも難しい判断でした。キリマンジャロ山では早ければ3月初旬から雨が降り始めますが、今年は4月になっても雨が降らず、中旬になってやっとパラパラと降り始める程度でした。こんなことではとても植林は無理できないと、しばらく様子を見ることにしました。ところが、4月下旬になると一転してとんでもない豪雨になり、キリマンジャロ山の山道はあっという間にドロドロに。今度は苗木を運ぶことができなくなってしまいました。一部の植林地に通じる道は鉄砲水で橋が流されてしまい、濁流の中をはじめて渡河して苗木を運びました。

 

苗木の集積地から植林地までは車も通れないため、みんなでえっちらおっちら徒歩で苗木を運びます。

 

本当は植林は雨が降っているうちに一気に進めたかったのですが、道の状態を見極めながら苗木を運ばなければならず、植林予定地の村と「今日は道は通れそう??」と何回も連絡を取り合い、「大丈夫」の返事をもらったら即運搬という慌ただしさでした。そのためせっかく日取りを決めていた植林日も計画通りには行かず、村人たちもいつ集まったら良いのか分からないという混乱ぶりでした。

 

下の写真はマリンガ村での植林の模様ですが、植林日には村長がどこで持ち出してきたのか拡声器を手に村人たちに植林を告げて回りました。その甲斐あって、300人近い村人たちが集まりました。植林地はなんだか牧草地のようでのどかに見えますが、イネ科の雑草に覆われ土がとても痩せています。ほとんどの樹種は根付くことができず、この日は一部補植も含め、荒廃土壌に強いマツ科のPinus patulaの苗木5,000本を植えました。

 

 

植林は5月から始まり、現在も続いています。下の写真は村内裸地での植林の模様ですが、ここでは生活林の造成を目的として、枝葉が薪や家畜飼料として使えたり、伝統薬、蜜源となるようなマルチパーパスツリー(多目的樹)を植林しました。植えたのはCallistemon speciosus(フトモモ科)、Calliandra calothyrus(マメ科)、Cordia abyssinica(ムラサキ科)、Croton macrostachys(トウダイグサ科)、Grevillea robusta(ヤマモガシ科)の5樹種計5,000本。

 

 

半乾燥地での植林にも取り組んでいますが、これまで植えた苗木には降雨不足で乾燥に耐えられず枯れてしまった苗木も多く、今回はじめて苗木の回りを石で覆うストーンマルチを試してみました。ある程度乾燥を防ぐことができるか、あるいは石からの輻射熱で苗木をダメにしてしまうか、結果を見守ることにしています。