旧バッファゾーンの森、利用禁止に立ち向かう住民たち

大統領の到着を待ち続けるキリマンジャロの住民

大統領の到着を待ち続けるキリマンジャロの住民たち

 

 

7月13日、天然資源観光省大臣によって出されたキリマンジャロ山麓住人に対する旧バッファゾーンの森“ハーフマイル・フォレスト・ストリップ(以下HMFS)”の利用禁止命令。

 

この命令が出された後、今度はモシ県知事がKINAPAを伴い森林に沿う村々に警告して回り、さらなる圧力をかけてきました。県知事が放った「これは天の声だ」という言葉と村人たちに有無を言わせぬ態度には驚くほかありませんでした。

 

ある村の村長は「政府は我々に戦争を仕掛けるつもりとしか思えない」と吐いて捨てるように言いましたが、山麓住民と政府(武装ワーデンを配置し国立公園を管理するキリマンジャロ国立公園公社)との衝突はもはや時間の問題でした。そうなれば過去起きた事実が示しているように、死者が出る恐れがあります。

 

そのような事態は何としても避けなければなりません。そのため、大統領のキリマンジャロを訪問をとらえ、住民による直訴を行いました。これはプラカードを掲げ、取り上げられた森の返還を訴えるものです。当初は住民との対話も意図していましたが、大統領の到着時間が遅れに遅れ、これは実現しませんでした。しかし大統領は主だったプラカードを集め、「皆さんの声は分かりました。11月にまた来るからその時にお話ししましょう」との言葉を残してくれました。キリマンジャロ山で森が地域の問題となっているとの声は確実に大統領に届きました。

 

夕方5時、ついにサミア大統領がやって来ました

夕方5時、ついにサミア大統領がやって来ました

 

 

これに続いて当会は協力している住民組織とモシ県の森林に沿うすべての村(40村)を回りました。目的は各村で緊急村会議を開催してもらい、地域住民の声を集め、それをあらゆるルートを通して政府に伝えるためです。このルートには県議会、国会、関係省庁、民間団体などが含まれます。

 

HMFSは地域住民が日々の生活維持のために欠かすことのできない糧を得ていた森であり、利用禁止命令は彼らの生活を根底から揺るがすものです。そもそもHMFSは政府内部で返還合意がされていたものであり、利用禁止命令などは地域住民には到底受け入れられないものです。

 

いまキリマンジャロ山の住民、そして地域全体がこの問題に対して立ち上がり、立ち向かおうとしています。いくつもの取り組み、働きかけが同時並行して進行しています。

 

キリマンジャロ山で生まれた“うねり”が大臣命令を覆し、HMFSの返還へと繋がるか。私たちの取り組みは正念場を迎えています。

 

バッファゾーンの森を取り込み設置された国立公園のビーコン

バッファゾーンの森を取り込み設置された国立公園のビーコン