裁縫教室、新入生確保に苦戦中

裁縫教室で勉強に励んでいる生徒たち

裁縫教室で勉強に励んでいる生徒たち

 

キリマンジャロ山麓のテマ村で運営支援している裁縫教室。今年も1月から新学期が始まっています。この裁縫教室には昨年寄宿舎も完成し、多くの生徒を受け入れる準備が整ったばかりです。ところが肝心の新入生の確保が思うようにいっていません。

 

これにはいくつかの要因があります。まず新型コロナウィルスの影響で家計が打撃を受けており、学費が払えない家が多く出ていることです。裁縫教室に子どもを通わせたいとの希望は寄せられるのですが、学費の話になると途端にそれより先に話が進まなくなってしまいます。かといって学費がほかの学校に比べて高いわけでは決してありません。むしろ他校の半分ほどに抑えた学費に設定しています。それでも払えなくなっています。

 

さらにこの状況に追い打ちをかけたのがタンザニアでの諸物価の急激な高騰です。村の生活でも日々欠かすことのできない食用油や農業に必要な肥料、家畜の飼料などは一年前に比べて3~5割も上がってしまい、家計を直撃しています。

 

そしてダメ押しになったのが、タンザニア政府が今年に入って打ち出し強力に推し進めている、国家試験不合格者の学校への復学(再履修)です。復学の道を開いたことはとても良いことなのですが、これまでそうした子どもたちの受け皿となってきた職業訓練校などは、生徒の確保が一気に困難となりました。もともと生徒確保が難しい状況になっていたので、今年民間の訓練校はかなりの数が閉鎖に追い込まれるのではないかと思っています。

 

これに対して私たちは、これまで以上に広い地域と頻度で生徒募集および学校の広報に取り組んできました。残念ながら現在までのところ結果に結びついていませんが、様々な方面に働きかける中で、今後の生徒確保に繋がる新たな方策も見つかりつつあります。とくに各地の教会と連携して、生活苦にある家庭の子どもに救いの手を差し伸べる方法を模索しています。

 

もちろんこうした家庭では学費は払えませんが、海外のドナーなどの力も借りて学費支援もパッケージで行っていく方法です。いまそのための話し合いをいろいろな教会と進めているところです。海外ドナーの協力も取り付けていく必要があることから、結果が出るまで早くて半年あるいは1年ほどかかるかも知れません。しかしこれがうまくいけば、今後この仕組みを通してより困難な状況にある家庭の子どもたちを受け入れていけるようになるのではないかと思っています。