2024年6月23日 ガザ地区。空爆が絶え間なく続く中、1人の女性の陣痛が始まり、翌日午前2時ころに息子を出産しました。彼の名前はヤマン*(*名前は変更されています)。
母親は、いまだ続く紛争の中で、生まれてまもない息子ヤマンと2歳になる息子を育てています。子どもたちに与えるミルクやおむつがなく、オムツを見つけたとしても、1枚ずつ法外な値段で売られている状況です。
「夫は現在働いておらず、状況は非常に厳しいです。ミルクやおむつを探す希望も失い、私たちは飢えています」と母親は語ります。
「ガザのすべての母親が同じような経験をしていると思うし、私と同じような状況にあるガザの女性たちをたくさん知っています。私たちの精神状態や母親としての疲労は言うまでもありません。私たちが適切な栄養を得られていないため、ほとんどの子どもたちが自然な母乳をうけつけません。10月から今に至るまで、私たちはまた飢えに苦しんでおり、小麦粉さえ手に入らない缶詰しか食べていません」
約34万5000人が壊滅的食糧不安に見舞われる可能性が高い
IPC(総合的食料安全保障レベル分類)の分析によると、2024年11月から2025年4月までの間に、人口の91%にあたる200万人近くが危機的またはそれ以上のレベルの食糧不安に陥り、そのうち約34万5000人が壊滅的食糧不安(IPCフェーズ5)に見舞われる可能性が高く、特にラファと北部に影響を及ぼすと予測しています。*1
*1 IPC Acute Food Insecurity and Acute Malnutrition Special Snapshot | September 2024 - April 2025
増え続ける子どもたちの急性栄養失調
2024年9月から2025年8月にかけて、6~59か月の子どもにおいて推定60,000件の急性栄養不良(global acute malnutrition, GAM)が発生し、そのうち12,000件は重度急性栄養不良(severe acute malnutrition, SAM)の症例と予測されています。また、妊娠中および授乳中の女性16,500人が急性栄養不良の治療を必要とする見込みです。*2
*2 IPC Acute Food Insecurity and Acute Malnutrition Special Snapshot | September 2024 - April 2025
【CAREの支援】
CAREは、ガザ地区でこれまで804,087人に人道支援を届けてしました。
[支援内容]
- WASH(飲料水、衛生キットの配布など)
- ポリオ予防接種の実施
- 尊厳キットの配布
- 心理社会的支援
- 避難所と生活必需品の提供 など
ガザにおける人道支援のアクセス状況は、頻繁な略奪や現地で活動する支援ワーカーへの攻撃、爆発物の残骸による危険、主要な道路の破壊などの様々な障害により著しく悪化しています。しかしながらそうような中、CAREは中東地域とガザ北部地域で活動を続けています。