パキスタンでは今年7月から続いた大雨によって、国内各地で大規模な洪水が発生しました。とりわけ山岳地帯が多い北部では土砂崩れや土石流が起こり、
電気や給水、道路などの生活インフラが甚大な被害を受けています。寒さの厳しい冬を控え、復旧が進まないまま困難な状況にある被災地の人々の現状を報告します。
洪水被害を免れた水力発電の小屋(左)と内部の設備(右)(ハイバル・パフトゥンハー州、2024年10月29日)
AARが活動するハイバル・パフトゥンハー州のマヌール渓谷地域では、大雨で土砂崩れが発生し、発電施設や給水設備、公立学校、診療所、
村々をつなぐ橋など生活基盤が被害を受けました。
この地域では、8カ所ある水力発電施設が土砂崩れの被害を受けて稼働できなくなり、人々は電気のない生活を余儀なくされています。
水汲みの苦労を訴えるハッサンザリさんと家族(ハイバル・パフトゥンハー州、2024年10月29日)
パキスタンの山岳地域では井戸は普及しておらず、谷川や泉からパイプで引いてコンクリート製タンクなどに貯めた水を使っています。こうした給水施設も損壊し、
地域の人々は山の上にある泉まで水を汲みに行かざるを得なくりました。主婦のハッサンザリさんは「大変な作業です。飲み水だけでなく、
洗濯に使う水も汲みに行かなければなりません。泉の水をそのまま飲むのは、衛生上不安ですが、他にどうしようもないのです」と話します。
AARは現在、水力発電施設と給水設備、生活道路の復旧に向けた支援の準備を進めています。
AARのパキスタン洪水被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。