移動が困難な人々の避難をサポートする、ミコラ(19歳)の話

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19歳のミコラ(写真上)は、CAREのパートナーである人道支援団体Vostok-SOSの避難誘導ドライバーです。Vostok-SOSは過去1年間で、3万5千人以上の移動が困難な人々や障がいのある人々を、戦闘が活発な地域から避難させてきました。救助された人のうち、最年少は生後13日の赤ちゃん、最高齢は98歳でした。

 

ミコラは毎日、300キロ以上の距離を走ります。仕事前には毎回、その日に避難させる人々の情報を受け取ります。また、道中での車の故障は人命に関わるため、ミコラは車を整備に出します。

 

これまで半年余りの間に、3,000人以上を避難させました。最近では、早期に避難できなかった人たちへの避難支援も含まれます。その中には、ずっとこの地域に住んでいて家から離れたくないという高齢者や、避難の列が長いためにどうしても早く迎えに行くことができなかった、障がいのある方がいます。現在、ドネツク州では1日平均約100人が、またケルソン州では少なくとも1日350人が危険地域から避難しています。その中には、ミコラのようなドライバーの助けにより避難している人もいます。


「残念なことに、私たちは死も目の当たりにしてました。戦闘地域における困難な人道的状況のため、多くの人々が重要な医薬品を入手することができません。時には、医薬品がないために、すでにインシュリンで昏睡状態に陥っている人や、その他の深刻な問題を抱えている人を避難させることもあります。私たちが到着したときには、こうした方々の病状はすでに非常に深刻なために、長旅に耐えることはできません。私たちの車の中で5人が亡くなりました。それは本当に辛い経験でした

 

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戦闘が活発な地域に潜む危険とは別に、ミコラたちは別の困難にも直面します。

 

建物の9階から、体重が100kg以上もある移動困難者を階下に運ぶことを何度も経験しました。また、体に麻痺がある人が室内に閉じ込められ、ドアを開けられる人が近くにいないため、アパートの中に入れないこともあります。高齢者がしばしば避難を拒むのは、これまでの人生で培ってきたものを置き去りにすることができないからです」とミコラは言います。


ある家では、5時間以上も猫を探し回りました。なぜなら、飼い主が愛するペットを置き去りにして避難することを拒んだからです。

 

私たちの支援をすべての人々に届けることはできません。それより先に彼らの家が爆発されてしまうこともあるからです。この仕事は毎回、新しい挑戦です。しかし、救助した人たちに抱きしめられるたびに、この仕事を続けなければならないことを実感します。」

ミコラはそう締めくくりました。

 

ミコラと同僚  ©CARE


CAREとVostock-SOSは、避難してきた人たちに安全なシェルターを提供しています。シェルターには、キッチン用品やベッド、マットレス、キャビネット、テーブル、椅子などを用意し、安心して暮らせるように配慮しています。