水がない!

TEACAの事務所まで水を汲みに来た女性たち

TEACAの事務所まで水を汲みに来た女性たち

 

昨年ひどかった停電も今年に入り状況が改善してきています。水力発電ダムのある水源地で雨が降ったこともあるようですが、メンテナンスのため止められていた発電設備が再稼働し始めたことが効いているように思います。

 

停電があまりにも酷く、もう太陽電池パネルを買わないとダメかと思っていたのでこの改善は嬉しい限りなのですが、入れ替わりで今度は断水がひどくなっています。

 

状況は村によっても異なりますが、キリマンジャロ東南山麓にあるムボコム郡やオールドモシ郡などでは今年に入ってからずっと水不足が続いており、状況は悪くなるばかりです。

 

カウンターパートTEACAの事務所はムボコム郡にありますが、村の中でも森に接する標高の一番高い所にあります。村に水を供給している水はこの森の中にある水源から引いていますが、TEACAの事務所は一番最初にこの水の恩恵にあずかるロケーションにあると言えます。

 

しかしそのTEACAの事務所ですら水不足になるときがあります。その下の方ではもう水が手に入らず、多くの人がTEACAに水をもらいに来ています。普通20L入りのバケツを2つ、一度に計40Lの水を運びます。それだけでも十分大変なのですが、なにせ山道です。水運びの負担は並大抵のことではありません。家族の人数や保有している家畜の数にもよりますが、この水運びが少なくとも一日に4回は必要になります。

 

バケツ一つで20L、合計40Lの水をこうして一日に何度も運びます

バケツ一つで20L、合計40Lの水をこうして一日に何度も運びます

 

キリマンジャロ山だけでなく、最近は広くタンザニアで水不足が発生しています。雨季の雨不足がもっとも大きな原因ですが、降雨パターンの不安定化や水源地の荒廃に加え、人口が増え続けており、水の安定確保と供給はますます重要な課題となってくるでしょう。

 

キリマンジャロ山での今回の水不足も、一番の原因はやはり昨年末の小雨季に十分な雨が降らなかったことにあるように思われます。ただ村を流れる沢などの水量も以前に比べ明らかに減っており、涸れてしまった所もあります。そういう意味でちょっとした降雨不足でも、以前に比べるとすぐにその影響が広範に出る状況になっています。

 

興味深いのは、降雨不足のためか、雨が降るときに「降る場所」「降らない場所」がかなりはっきり出ていることです。同じ村の中でも、以前なら村全体に降っていたのに、最近はそうではなく、雨が通っていく「雨の道」のようなものがあります。そしてその道はまさに森の上を通っており、森の縁を離れてしまうともう降りません。そのためわずか数百メートルの違いしかないのに、作物の育ち方までまったく違っています。

 

キリマンジャロ山では山頂氷河の消失が進んでおり、地球温暖化が原因とも言われています。その一方で山の森林減少が水蒸気の発生と雪を降らす雲の形成阻害を招いているためとも言われています。その科学的な因果関係にはまだ分析が必要でしょうが、こうして「雨の道」のようなものを見るにつけ、あらためて森の存在の大きさ、それが降雨に与える影響の大きさをひしひしと感じています。