岩手県大船渡市で2月26日に発生した大規模な山林火災は、12日を経た3月10日、市内に出されていた避難指示がすべて解除されて終息しました。大船渡市は東日本大震災(2011年3月)でも大きな被害を受けた地域で、AAR Japan[難民を助ける会]は当時の緊急支援活動で培ったネットワークを生かし、今回も直接の被災者や二次被害を受けた住民への支援活動を開始しました。
この火災では市域の9%にあたる2,900ヘクタールが消失し、死者1人、住宅被害102棟が確認され、最大時1,896世帯4,596人に避難指示が出されるなど、地域の暮しに多大な影響を及ぼしました。AARの緊急支援チームは7日から、被災地で被害状況の把握と支援ニーズの調査を進めています。
現地の協力者と今後の支援について話すAAR国内災害担当(右)=岩手県大船渡市の県立福祉センターで2025年3月2日
すでに必要な支援物資は届いていることから、AARは「いわてNPO災害支援ネットワーク」(代表事務局=同県北上市)とともに、生活再建に向けた「困りごと相談窓口」を開設します。大船渡市役所や大船渡市社会福祉協議会、岩手弁護士会と連携し、仮設住宅の入居や自宅の再建など公的助成の申請手続き、事業の再開や心身のケアといった多岐にわたる問題に対応していきます。
岩手県立福祉の里センターに用意された簡易テント
また、AARが災害発生時に重視する障がい福祉施設への支援についても、市内の福祉施設を訪ねて必要な支援を調査しています。今のところ建物に大きな被害は見られませんが、高齢化が進んだ大船渡では保護者がいない障がい者も確認され、きめ細かいサポートが求められています。併せて、今後に備えた福祉施設の防災・減災の支援も必要です。
今回の緊急募金にご寄付をお寄せいただいた皆さまに心より感謝するとともに、AARの大船渡緊急支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。