停電の村に光を―水力発電の復旧工事が本格化

AARは、2024年7月の大雨による洪水の被災地支援をパキスタン北東部のハイバル・パフトゥンハー州のマヌール渓谷地域で行っています。

住民との協議を重ねて決定した水力発電および水路の復旧工事が本格的に始まりました。現地からの報告です。

 

 

マヌール渓谷の住民と協議するAAR職員(赤い上着の男性)=2025年1月29日

 

20251月、パキスタン北部での水力発電装置復旧工事に向けて、AAR職員と現地住民がミーティングを行い、工事における役割分担や必要資材(砂利・石材など)について話し合い、住民主体でスケジュールや予算を含む計画を確認しました。

 しかし、計画を進めようと思った矢先に、水力発電設備の設置のために利用を予定していた水路が再度地すべりの被害に遭いました。

この水路を修復してもまた地すべりに遭う可能性が高く、修繕費用もかかるため、別の場所にある水路を利用することになりました。

 

水力発電装置につなぐパイプを設置するために岩を動かす地域住民

水力発電装置につなぐパイプを設置するために岩を動かす地域住民=2025年4月7日

 

住民たちは、以前使用していた故障中の発電装置を修理し、わずかに電力を確保している状態ですが、稼働時間は1日数時間程度で、村全体に十分な電力が行き渡っていません。

夜間も照明を使わずに過ごすなど、非常に厳しい生活が続いています。

 早急な工事が求められていましたが、この地域は積雪が多く、雪崩のリスクも高いため、すぐに着手することができませんでした。

加えて、都市から遠く離れた山間部に位置していることから、建築資材の入手も困難で、必要な資材がなかなか手に入らない状況が続いていました。

 

地域住民が資材を扱うお店を一軒ずつ訪ね歩き、探索範囲を広げながら粘り強く探し続けた結果、ようやく必要な建築資材を購入できるお店を見つけることができました。

3月下旬に入り気温が上昇し、ようやく資材を調達することができたことで、本格的に工事を開始できました。

 

水力発電装置を設置する小屋を建設=2025年4月14日

 

4月に入り工事はさらに本格化し、発電装置を設置するための小屋の建設とパイプの設置を進めています。

岩が多い地形での作業は重労働ですが、現地の男性住民たちが力を合わせて取り組んでいます。

 今後は、工事の進捗を見守りつつ、住民団体が発電装置の維持管理を担えるよう、ワークショップなどの支援活動も実施していく予定です。

村の人々が一日も早く安定した電力を手にできるよう、引き続き支援を続けてまいります。