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AAR Japan[難民を助ける会]はポーランドにあるカトリック教会の修道会と協力して、ウクライナ東部から避難した母子など約80人が身を寄せる同国西部テルノピリ州の修道院に緊急支援物資を輸送しています。人道危機の発生から1カ月余りが過ぎた4月初旬、現地から子どもたちの様子を知らせるメッセージが届きました。AAR東京事務局の中坪央暁がご報告します。
この修道院には、ロシア軍の攻撃にさらされる東部の都市ハルキウ(ハリコフ)の母子寮で暮らしていたシングルマザーの母親と子どもたちに加え、高齢者など約80人が滞在しています。子どもは生後数カ月の乳幼児から10歳くらいまで。幼少の子どもが多いため、シスターたちは建物の一室に仮設の幼稚園を設けました。
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修道院の一室に設けられた仮設の幼稚園
小学校に通っていた年長の子どもたちは、当初は地元の教員や母親たちが勉強を教えていましたが、AARの支援を受けてポーランドで購入したパソコン、プロジェクター2台ずつを使って、4月からオンライン授業に参加できるようになりました。ウクライナ国内では現在すべての学校が閉鎖され、それを補うためにパソコンやスマホを通じた遠隔授業が導入されています。
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AARの支援で購入したパソコンでオンライン授業を受ける年長の子どもたち
修道院長のシスター・ユリアは「年長の子たちは授業が終わった後、パソコンで幼児向けの番組やアニメを探して、年少の子どもたちに見せてあげています。提供していただいたパソコンは、子どもたちの勉強や娯楽、情操教育すべてに役立っています」と話します。
爆撃に備えてシェルターを整備
古い歴史を誇る修道院には避難民の居住スペースはありますが、数十人が共同生活するための設備は整っていません。そこでAARはポーランドの修道会を通じて、洗濯機2台のほか、電子レンジ、大型湯沸かし器、電気ケトル、掃除機などを提供しました。大人数の食事を用意するための調理人を雇う経費、母子たちが暮らす建物の暖房代、ポーランドから支援物資を運搬する車両のガソリン代などもAARの資金でまかなわれています。
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AARの支援でポーランド側から輸送された洗濯機
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共同生活のために購入された電子レンジ、電気ケトルなど
ロシア軍は主にウクライナ東部・南部に侵攻していますが、西部にも散発的な攻撃を加えています。修道会がある地域にも空爆の可能性を知らせる警告が届いており、遠くで爆発音が聞こえたことは数回あるといいます。修道院では万一に備えて地下室に水道管を引き込み、シェルターとして使えるよう整備を急いでいます。こうした配管工事などの費用もAARの支援で工面しています。
近隣の避難民にも物資分配
また、修道院がある地域は他にも約3,000人の国内避難民を受け入れており、シスター・ユリアは「私たちは地元自治体や病院と協力関係にあり、近隣の村にいる避難民の方々に食料や生活用品をお分けしています。東部で重傷を負った女性が搬送されてきた病院には、医薬品や包帯を届けました。困難な状況にあるからこそ、皆で助け合っているのです」。
このほか、修道会が国境に近いポーランド南西部の町で運営する小学校は、ウクライナ難民の子ども10人を受け入れており、AARは子どもたちの食事代や衣服、文房具代を支援しています。これらの緊急支援はすべて日本でお寄せいただいたご寄付が原資であり、それをポーランド・ウクライナ両国にまたがる修道会のネットワークに乗せて、困難に直面する人々に支援物資として届けています。
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リクエストに応えて送られた女性と子ども用のクツ
ウクライナ人道危機は長期化が予想されます。AARの難民・国内避難民支援へのご理解・ご協力を、引き続き、よろしくお願い申し上げます。
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