九州豪雨:「わが子の位牌を枕元に...」緊急支援物資配付と炊き出しを続けています

わかたけ保育園の避難先におむつ、ミルクなど乳幼児向け物資と衛生用品、掃除用具一式をおとどけしました。左はAARの大室和也、右隣りはAARの野際紗綾子

このたびの豪雨により亡くなられた方々に衷心よりお悔み申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。
九州南部で豪雨が発生して7月11日で1週間が経ちました。被害は九州に留まらず、死者は熊本、福岡、大分、静岡、愛媛の5県で計66名。住宅の浸水被害は1万棟を超え、約3800人が避難生活を送り、熊本、大分、愛媛、兵庫、岐阜の各県合計で約24万5千人に避難指示が出されています(内閣府/7月10日午後2時現在)。
AAR Japan[難民を助ける会]は7月5日以降、NPO法人ピースプロジェクトと協働し、熊本県八代市葦北郡芦北町の避難所で炊き出しを実施しているほか、9日からは八代市、人吉市で被災した障がい福祉施設に緊急支援物資をお届けしています。(写真はすべて2020年7月10日撮影)

【甚大な被害を受けた保育園へ緊急支援物資をご提供】
7月10日、AAR緊急支援チームは豪雨により被災した熊本県八代市坂元町にある「わかたけ保育園」へ緊急支援物資を届けました。坂元町への道路は通行止めになっており、電話もなかなか通じませんでしたが、やっと園長の光永さまと連絡がつき、緊急支援物資を届けることができました。同保育園は施設の2階まで浸水し被害を受けたため、近隣で廃校になった小学校を借りての運営再開のために、光永園長をはじめ保育士や保護者の皆さまが、全力で準備を進めています。保育園に通う0~5歳児51名は全員無事でしたが、多くの職員やご家族の住宅や車両が浸水し、八代市内の避難所に身を寄せています。

AARは、7月13日からの保育園再開に向けた物資として、乳幼児用おむつ、おしりふき、固形ミルク、液体ミルク、ぬいぐるみ等の子ども用の物資、業務用扇風機、ドラム式延長コード、軍手、作業着、ペットボトル飲料をお届けしました。保育園の皆さまは、「これらの物資はどれも必要なもので、とても助かります」とおっしゃってくださいました。

【うな丼とかきたま汁でほっとするひとときを】
炊き出しチームは10日、うな丼とかきたま汁を、八代市千丁コミュニティーセンターで50食、芦北町しろやまスカイドームで100食ご提供しました。前日にメニューを予告していたので、当日は避難所の皆さまは楽しみに待っていてくださいました。

 

炊き出しボランティアの皆さんのご協力により、美味しいうな丼が完成しました

 

大変な避難生活が続く被災者の方々が、ひとときでもあたたかい食事で元気になっていただけますように


避難所でお話を伺った、熊本県八代市坂本町から避難されてきた86歳の女性は、「2階まで水に浸かってしもうた。電気、水道がだめで家には帰れない。1週間あたたかいごはん、おいしかったよ。ありがとう」と言ってくださいました。同じく坂本町から来られた70代の女性も、同じく自宅が2階まで浸水したとのこと。「道路事情が悪かったが、役場のはからいで、昨日みんなで初めて家(自宅)に戻ってみた。新調した畳やらなんやらも滅茶苦茶。若くして亡くなった子どもの位牌だけ持ち帰って洗って、ここ、(枕元)に置いてある。これで少し安心した」「(避難所に)昨日やっとダンボールベット、今日はゴザがしかれた。畳の新しいにおいがして癒される。八代はイグサ日本一の生産だけん」と話してくださいました。

 

ご自宅が2階まで浸水し、やっとのことで避難されたご高齢の方々もいらっしゃいます


炊き出しの合間には、ボランティアの皆さんのご協力を得て、被災者の方々に「被災者支援リスト」を配りました。被災者の方々のほとんどは、まだ被災によるショックが大きいほか、情報へのアクセスが難しいため、ご自身の被害がどの程度でどのような支援を受けられるのか把握できていません。そこで、行政から受けられる支援情報を印刷してお配りし、説明させていただきました。

 

被災した住宅の修理、再建にはどんな支援制度があるのかなどをまとめたページを印刷し、お配りしました


被災された方々が、少しでも早く元の生活に戻れるよう、AARは引き続き支援を続けてまいります。