エコミューズ館長日記 No.6

前回の日記から2週間近くがたった。この間、台風10号の暴走ぶりがあっていくつかの予定も消えてしまった。

それを利用して、第3章に採用する資料の選択・配置見直しを行った。

厄介な存在だと気づいたのは、西淀川公害追放委員会(すごい名前だ)の活動である。

これは、緑地化推進委員会の活動から生み出されたものか、西淀川から公害をなくす市民の会の流れからでてきたものか、どちらの運動にもこの会への期待が表明されている。

最大の課題は外島地区に公害企業を誘致する事実が分かったときに、両者ともにこの対応を西淀川公害追放委員会に訴えている。

ところが、その後の資料がないのである。どこへいったのか。ただ、謎は謎のまま置いておかないといけないなあと思う。

 

さて、今日は午前中に読売新聞富山支局の岸本健太郎記者がお見えになった。

その趣旨は、富山県立イタイイタイ病資料館の持っている行政文書の整理がなかなか進まないことに対するコメントを得ることと、合わせて我々エコミューズの抱える問題点についての聞き取りであった。

私は、お金の問題、人の問題、場所の問題、3つともに苦しいのだと述べておいた。

読者のみなさんには詳しい話は機会があったらいたします。しばらくの間は、内緒にしておきます。

ただ、資料は集めただけでは不十分であって、その活用をはかる状況を作っていかなければならないことそれには、当時の人が作成した心からなる叫びを表現している現物の資料についての知識と、その意味が理解できるようになる人材の育成が必要であることを述べておきます。また、いま進めている資料集の編集はそうした力をつける最も有効なやり方ではないかと考えています。

 

午後からは第3章の1大野川緑陰道路の創設に関わる資料の翻刻作業に取り組んだ。

例によってミナコさんにその作業の実務がかぶさっていった。

前回と同じように翻刻中わからない文字が出てきたとき、ミナコさんの要請に応じてちょっと頭を捻ることになった。資料は「亜硫酸(SO₂)について」。

「細」という漢字に続いて、草冠に「口」と読めそうな漢字を見て、「ウーーン」とちょっと悩んでいる隙に、「細菌じゃないですか?」と答えを言われてしまった。

「1本取られたなあ」と思わず言った。

ミナコさんは嬉しそうに笑いを返した。

2024.9.13 小田康徳

 

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

 

※資料集作成のための調査、ウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

 

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