※機関誌りべらで連載をしている所蔵資料紹介コーナーの転載記事です。
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写真は、大阪市大淀区(現在北区)中津コーポ住民による高速道路反対のニュースビラの一部です。
1971年5月から72年8月31日まで全95号がまとめられています。
書き手は、のちに大阪空襲の研究やその被災者運動で知られる故小山仁示関西大学教授。
当時40歳になったばかりで、B4版の紙面いっぱいを使い、大量の字数になることもしばしばでした。
ニュースでは、号を追って道路公害に関する認識を深め、解決すべき課題を明確にしています。
当局や府・市議会、そしてマスコミ等との交渉を通じ問題の所在を明らかにし、その解決の社会的意味を論じていきます。
また、道路で結ばれる関係地域の住民運動に何度も連帯のエールを送っています。
そのなかには西淀川公害反対運動を進める人びとも含まれていました。
運動を点から線へ、線から面へと広げる意義が何度も語られています。
今回見つけ出された資料は、その運動の実際を再現する根本資料です。
西淀川公害反対運動も、こうした広い背景を持って展開したことが確認できます。
エコミューズ館長 小田康徳
りべらVol.157(2021年10月発行)より抜粋