SDGs③ すべての人に健康と福祉を

SDGs④ 質の高い教育をみんなに

SDGs⑩ 人や国の不平等をなくそう

SDGs⑰ パートナーシップで目標を達成しよう

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ひとりひとりに深い影響を与える

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問題の解決

問題を人々に認識してもらう

定着・普及段階

がん

病気

医療・福祉

コンピュータAIが医療従事者を育成し健康長寿を実現

  • 寄付額

    0

  • 寄付数

    0

  • 開始日時

    2025/12/08 17:00

    終了日時

    期限なし

このプロジェクトは目標金額の達成に関わらず、決済されます。
支援申込後のキャンセルはできません。

【プロジェクトの概要】

 現代医療ではX線、超音波、内視鏡などはどの診療科でも最初に行われる画像診断ですが、正確に診断するためには知識・経験が必要であり、疾患の見落としによる重症化や死亡事故が発生しています。我々は大学(大学病院)等と協業して医療従事者を育成して画像診断をサポートするシステム”画像診断ナレッジサービス「読影指南」(英語名:Diagnostic Imaging Tutor)”を開発して国内外への普及に取り組んでいます。

 このシステムが普及すると忙しい医療従事者を支援することが可能になり、疾患の早期発見、早期治療につながります。我々はこのシステムによって健康長寿社会を実現させます。


【プロジェクトが解決しようとしている社会課題】

 X線、超音波、内視鏡などの画像診断は正しい診断や治療のために不可欠な手段です。もちろん正確な診断には専門知識と熟練が必要なのは言うまでもありませんが、正確な診断ができる専門医が常駐しているのは大病院に限られます。また臨床医に占める放射線科専門医の割合はわずか3%、超音波専門医はわずか1%にすぎません。その結果、医療機関の大部分を占める中小病院や診療所では画像診断の精度に大きな「ばらつき」が存在し、疾患の見落としや死亡事故が発生しています。以下のURLは肺癌検診を受けている40歳代の女性が肺癌で死亡した事故について報道した記事ですが、調査した結果、多くの見落としが発見されました。

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37778090V11C18A1CC0000/

 日本は人口当たりの医師の人数がOECD加盟国中最低であり、専門性を有した医療従事者も少ないという課題を抱えています。しかしすでに人口減少社会に突入しており人材育成の為に十分な予算を確保することもできません。一方、東南アジア諸国ではこの問題は日本以上に深刻です。画像診断を指導する専門医が不足しており育成する予算も取れないのであれば、コンピュータ(AI)に画像診断の知識・経験や症例を教え込むことにより、医療従事者の判断を正しい方向に導くためのエビデンスを提示したり、人材を育成できるシステムを開発することにより我々はこの社会課題を解決します。

 

【解決する方法】
 我々はセマンティック・ネットワークと呼ばれる知識情報処理を応用して、画像診断に必要な知識を基本部位、基本所見、追加所見、診断などで構造化し、語彙と語彙の関係および関係強度を定義した画像診断知識ベースと、症例画像、性別/年齢、確定診断、前記知識ベースに基づき構造化した所見レポートで構成される画像症例データベースを開発してきました。我々はこの成果を”読影指南データベースd-CORE”と命名しました(下図)。

 読影指南データベースd-COREは、例えば胸部X線では約6,000におよぶ要素(語彙)と約30万通りの組み合わせ、約500症例の教育用症例から構成されており、臨床で経験するほぼすべての疾患を網羅しています。

 さらにこれらの成果を利用して、基本部位、基本所見、追加所見からの診断ナビゲーション、類似症例参照、所見レポート作成、所見解説、病状の解説等の機能を提供すると共に、画像診断能力を効率的に向上できるシステムを開発して国内外に提供してきました(下図)。

 ”画像診断ナレッジサービス「読影指南」(英語名:Diagnostic Imaging Tutor)”は、d-COREを核(エンジン)として、基本部位、基本所見と選択していくと可能性の高い疾患をナビゲーションすると共に、症例一覧を提示する”画像診断ナビゲーターDoc.navi”と、専門医の画像診断を体験して学ぶことができる”画像診断シミュレーターsimu.Doc”で構成されています。

 

 近年、画像診断における疾患の見落としを軽減するために、AIの活用が期待されており一部実用化されています。AIの活用は癌など一部の疾患では実用可能な精度を有していますが、

・コンピュータが抽出した結果に対してその根拠を医療従事者が理解できないこと、

・膨大な症例データが必要であり、癌などの一部の疾患しか抽出できないこと

などの欠点を有しており、癌検診などの限定された用途か、または専門医などの知識・経験を有した医療従事者でないと使いこなせないと言われています。

 それに対して”画像診断ナレッジサービス「読影指南」(英語名:Diagnostic Imaging Tutor)”ではセマンティック・ネットワークと呼ばれる知識情報処理技術を応用していますので、これらの欠点を回避して医療従事者が理解できる形でエビデンスを提供することができると共に、人材の育成にも応用することができます。

 

【遂行メンバーや受益者からのメッセージ】

 ”画像診断ナレッジサービス「読影指南」”は国内ではすでに6,000を超えるアカウントを提供しており、多くの論文で人材育成効果が検証されています。以下にその一部を紹介します。

・Y Hasegawa; Y Matsumura; N Mihara; Y Kawakami; K Sasai; H Takeda; H. Nakamura “Development of a System that Generates Structured Reports for Chest X-ray Radiography”, Methods of Information in Medicine 4/2010; 49(4): 360-370.

・Akio Ogura; Norio Hayashi; Tohru Negishi; Haruyuki Watanabe "Effectiveness of an e-Learning Platform for Image Interpretation Education of Medical Staff and Students", Journal of Digital Imaging (2018) 31:622–627.

・東出 了; 武藤 裕衣; 松浦 佳苗; 中舎 幸司; 荒井 信行 「胸部読影学習システムを導入した学内実習の教育効果」, 日本放射線技師教育学会論文誌Vol.12 No.1 p.27-34, 2021

 主な受賞は以下のとおりです。

  2016年 第35回医療情報学連合大会優秀発表賞

  2017年 CSOアワード大阪市長賞

  2018年 第37回医療情報学連合大会優秀発表賞

  2019年 大阪市市民活動推進助成事業に選定

  2021年 総務省「異能vationプログラム」ジェネレーションアワード部門企業特別賞

 また海外においては、2019 年度 国立国際医療研究センター国際医療協力局における医療技術等国際展開推進事業「フィリピンにおける医療画像診断能力強化支援事業」の研修プログラムに採用され、フィリピンの行政機関、各学会から専門医などの先生方を研修生として招いて研修プログラムを実施し有用性を確認しました。この成果については内閣官邸の健康医療戦略推進本部広報資料に掲載されています。

 日本語版下記PDF10ページ

 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/torikumi/asia_jp.pdf

 英語版下記PDF9ページ

 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/en/torikumi/asia_en.pdf

 

 さらに2024年度からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「地球規模保健課題解決推進のための研究事業」に採択され、フィリピンの医療教育の中に組み込むべく事業を委託されています。

 https://www.amed.go.jp/koubo/20/01/2001C_00082.html

 また、国際連合工業開発機関(UNIDO)サステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」に掲載され、海外展開のバックアップをしていただいています。

 https://itpo-tokyo.unido.org/en/technology_db/12503/

 特許については特許第6466806号を取得しています。


【寄付によって達成できること】

 冒頭の【プロジェクトが解決しようとしている社会課題】で引用した記事には、肺癌検診を受診した40歳代の女性が検診の見落としによって肺癌で死亡した事例が掲載されており、さらにこのクリニックで多くの見落としが発見された事実が報道されています。この医療過誤は死亡事故に至ったために報道されましたが、見落としにより重症化した事例はなかなか報道されません。「不幸にしてステージⅣで発見された」という言葉で処理されてしまいます。全く検診を受けずにステージⅣまで進行してしまったのであれば自業自得ですが、何らかの医療機関にかかっていたのであれば見落としの可能性が大きいと考えられます。しかし医療過誤として取り上げられることはめったにありません。

 実は私自身も急性胆嚢炎の見落としによって開腹手術を余儀なくされた経験があります。

 https://www.youtube.com/watch?v=Rf4u4Jz_87E

 このような疾患の見落としをなくすためには、医療従事者の画像診断における知識・経験を養う必要があります。しかしそもそも医療従事者が不足している現状において時間をかけて研鑽を積むことは困難です。そこでコンピュータ(AI)が効率的に医療従事者を育成することができる”画像診断ナレッジサービス「読影指南」(英語名:Diagnostic Imaging Tutor)”を国内外の医療従事者、および医療機関、教育機関に知っていただくと共に、それらに販路を有するディストリビュータにも知っていただき共感していただく必要があります。

 これまでに

 ・教育機関での成果についての論文発表

 ・日本医療情報学会、大阪市、総務省などからの表彰

 ・AMEDからの委託やUNIDOからの支援

など多くの成果を上げていますが、臨床現場や医療機器/システムを扱っているメーカーやディストリビュータに対する認知度は十分とは言えません。しかし普及促進にあたって我々NPOは賛助会員になっていただけるメーカーやディストリビュータに協業パートナーになっていただくことが不可欠です。例えばAMEDから委託されているフィリピンにおいて、事業を進めるうえでの体制は下図に示す形を想定しています。

 体制を構築して普及促進させるために必要な施策は以下の通りです。

 ・国内外含めて臨床現場の医療従事者が集まる場での学術発表や広報宣伝

 ・医療機関や教育機関に販路を有する協業パートナー候補への情報発信

 そのためにいただいた寄付は主に人件費、広告宣伝費に使用させていただくことにより、疾患の見落としによる重症化や死亡事故を防止し、健康長寿社会を実現します。

団体情報
メディカル指南車

大学や大学病院に所属する教員や専門医など、医療に対する高度な専門知識を有している数少ない専門家と、知識情報処理やデータベースに高度な専門性を有した研究者や技術者が1つの法人に集結しているために、大学も巻き込んで医療と情報処理を融合した他に類を見ない研究開発を実施することができる。

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