アトリエ・ポレポレは、今年の3月から泉岳寺の庫裏をお借りして活動しています。メンバーのみなさんの中には環境の変化が苦手な方もいるので、次の移転場所がなかなか決まらず、場所がなくなることだけを伝えなければならなかった時期は心苦しかったです。
慌ただしく引っ越しを終え、迎えた泉岳寺での初回活動日。活動再開を待ち望んでいたメンバーのみなさんが続々と泉岳寺にやって来ました。前の活動場所の近くに住んでいた方も、何事もなかったかのように通う姿を見て、「来たい」という思いの強さが大切なのだなと考えさせられました。
移転の際に大きかったのは、処分も検討されたテーブル用の板を、泉岳寺のご理解もあって置かせてもらえることになったこと。いつもの仲間がいて、いつもの板があって、いつもの画材があって……初回の活動前にはなかなか想像がつかなかったのですが、それだけでポレポレの雰囲気が戻っていました。
メンバーのみなさんは、気にしていないようでもどこかでお互いを気にかける様子が見られます。泉岳寺の住職の方から、場所をお借りする際に「皆が気持ちよく過ごせることを大切にしている」というお言葉をいただきましたが、それはポレポレの時間にも通じることだなと思いました。
ポレポレは気持ちよく表現したいという方なら誰でも参加できる場所。ファシリテーターのサイモン順子さんは、「教える」ことはせず、それぞれのみなさんが「自分が自分になる」こと、自分を出せるような時間と空間をつくることを大切にしています。
実際、ポレポレにいると、思うままに作品をつくる過程に魅力を感じます。メンバーとの会話が弾んで作品を仕上げるのに数ヶ月もかかる方もいますが、共に描く時間を楽しんでおり、そんな過程を経て生まれた泉岳寺初の作品は、ポレポレで過ごす時間が濃密に詰まった印象深いものとなりました。
環境は落ち着きつつありますが、安全性の高さと発色のよさから長年使用しているアクリル絵の具だけでなく、画用紙や筆などの画材が、円安などにより価格高騰し、ポレポレの活動に影響している面もあります。変わらぬご支援をよろしくお願いします。