福島「ワクワク子ども塾」

AAR Japanは東日本大震災(2011年)の被災地・福島県で、子どもたちのための体験型イベント「ワクワク子ども塾」を2012年から開催しています。同県浪江町と相馬市で7月22~23日に開かれた第34回子ども塾には、計29人の親子が参加し、累計の参加人数はのべ1,000人を超えました。

 

ワクワク子ども塾は当初、震災に伴って発生した福島原発事故による放射線の影響で、外遊びの機会が減った福島県東部の子どもたちに、同県西部にある西会津町の自然の中で伸び伸び活動してもらおうと始まりました。現在は地域交流や震災被害の風化を防ぐことを目的に1泊2日で実施しています。

 

津波被害の小学校跡を訪問

 

請戸小学校では、校舎の2階に張られた「津波浸水深ここまで」の表示に「こんなに高くまで海水が来たんだ」と全員が息をのみました。1階のどの教室も、壁も天井も無残にはぎとられ、水道の栓は津波の力でアメのように折り曲がっていました。子どもたちは時折、保護者に寄り添うようにしながら、真剣なまなざしで見学していました。

 

西会津町から参加した小学校6年の星麟太朗さんの母・佳子さんは「請戸小の様子はテレビでよく目にしていましたが、実際に目にすると災害って“自分事”であり、自分たちも防災意識を高めなければと実感しました。家族だけではここまで足を運ぶことはなかったと思うので良い経験になりました」と話しました。

 

カニ釣りなど通して交流

2日目は相馬市の5家族14人も合流し、松川浦環境公園の「そうま・にしあいず交流花壇」で記念植樹をした後、市内にある伝承鎮魂祈念館を見学しました。同市では津波などで485人が命を落とし、名前を刻んだ慰霊碑も建てられています。

 

 

午後は原釜海岸の磯辺で磯カニ釣りに挑戦。イカの足をつけた針金を岩の間に垂らすと、3センチほどのイソガニが次々と釣れ、「やった!」「すごい」と歓声があちこちで上がりました。

浪江町から参加した小学校1年の井口紅芭(くれは)さんは、ひと回り大きいイワガニを釣り上げてにっこり。父の勇樹さんは「浪江の小学校はごく少人数。知らない子どもと話す経験をさせたくてこのイベントに参加しました。初めて会った子どもたちとすぐに仲良くなっていて安心しました」と語り、紅芭ちゃんも「また参加したい」と大きな声で言ってくれました。相馬市に住む保護者からは「近くに住んでいても、これまで海には来ませんでした。今日は子どもたちが海を楽しんでくれて良かった」との声が出ていました。

 

 

 

12年目を迎えた「ワクワク子ども塾」は今回で参加者数がのべ1,000人を突破。秋にはまた西会津町を訪れる計画です。AARは今後とも東日本大震災の復興支援を続けてまいります。皆さまの温かいご理解・ご協力をお願い申し上げます。

 

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