ロシアによるウクライナ軍事侵攻は、年が明ければ3年目を迎えようとしています。ウクライナ南部でAARが現地協力団体と提携して支援している対象は、
経済的に恵まれず、病気や障がいがあり、長引く戦時下でますます困窮する地域住民や国内避難民です。
親子3人寄り添って暮らすアンナさんたち。右は現地協力団体TTAのソーシャルワーカー・カテリーナさん(2024年9月、ウクライナ)
「ロシア軍のドローン攻撃で自宅の屋根や窓が壊れてしまい、修理する費用もないので、親戚の家に住まわせてもらっています」。
州都ミコライウ市南郊の小さな一軒家で、シングルマザーのアンナさん(34歳)は、視覚障害のあるミーシャ(9歳)とマルガリータ(6歳)の兄妹を抱き寄せました。
アンナさんは離婚後、スーパーの店員として生活費を得ていましたが、子どもたちを置いて働きに出ることもできず、
収入と言えるのは月額1万1,000円相当のミーシャの障がい児手当だけです。わずかな貯金を切り崩す生活が続く中、AARが昨年届けた生活費で、アンナさんは越冬用の薪を買い込みました。
アンナさんは「一番心配なのは、この子たちのこと。私たちを助けてくれる日本の人たちに『ありがとう』と伝えてください」と話します。
45年間連れ添ってきたアレクシーさん、エカテリーナさん夫婦(2024年9月、ウクライナ)
ミコライウ郊外で暮らすアレクシーさん(72歳)、エカテリーナさん(64歳)夫婦は45年間連れ添ってきました。
元気だった元会計士のエカテリーナさんは開戦後間もなく、昏倒して1週間寝込み、身体の自由が利かずに起き上がれなくなりました。
エカテリーナさんが心を痛めているのは、ウクライナ軍が越境攻撃を仕掛けているロシア西部クルスク州に住む妹のこと。
妹は旧ソ連時代にクルスク州の男性と結婚し、ソ連崩壊後はロシア国籍を取得して向こうに残りました。
「長年連絡を取り合っていたのに、戦争が起きてから不仲になってしまい、今では音信不通です」とエカテリーナさんはベッドに横たわったまま嘆きました。
平時から厳しい生活を送っていた人々が戦時下でますます追い詰められています。
AARはこうした弱い立場におかれた人々が支援から取り残されないように活動を続けてまいります。
AARのウクライナ人道支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。