写真:生活支援金を受け取ったナスチャさん一家と話すAAR現地職員オレーナ(左)(ヘルソン州プラウディノ村)
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって2年半余り、今も激しい戦闘と全土への攻撃が続いており、事態が終息する兆しは見えません。AARは、同国南部のミコライウおよびヘルソン両州で、困窮する地域住民や避難民の生活を支える現金支給を行いました。
2024年9月12日、AAR職員が現地協力団体「The Tenth of April(TTA)」の現場チームとともに訪ねたヘルソン州の北西端プラヴディノ村は静まり返っていました。プラヴディノ村のあるヘルソン州は開戦直後の2022年3月、ロシア軍に全域を占領されました。ウクライナ軍は同年11月に州都ヘルソン市やプラヴディノ村を含むドニプロ川西岸(北側)を奪還しましたが、東岸(南側)はロシアに占領されたまま、川をはさんで戦闘が続いています。前線から約30キロに位置するプラヴディノ村一帯には多くの地雷が埋設され、砲声が立て続けに数発、南の方角から伝わって来ます。
プラヴディノ村で4人の子どもを育てるナスチャさん(31歳)は、「AARからの支援金で、冬に備えて暖かい子ども服を買うつもりです。私たちのことを心配してくれる日本の皆さんに感謝します」と話します。
プラヴディノ村の村長リュボフさんは、「家が全壊したなどの理由で、避難したまま帰って来られない住民も多く、1,500人余りいた人口は現在850人ほどに減りました。占領下で最後まで村に残った約180人は、逃げるに逃げらない年金生活の高齢者がほとんどです。避難するにもお金が必要で、頼れる伝手もない住民は危険な交戦地域に留まるしかなかったのです」と説明してくれました。
決して充分な金額とは言えないものの、支援を受け取ったプラヴディノ村の人々は、遠い日本から届いた支援に対して、感謝の思いを口にしていました。
引き続き、AARはウクライナ国内の残った人々への人道支援へ実施してまいります。ご支援、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。