キリマンジャロ山での育苗が始まっています

キリマンジャロ山で協力している地元団体との新年度の予算編成が終わり、各村の苗畑で来年の大雨季に向けた育苗作業が始まっています。来年の新規植林地での植林分を含め、合計32,250本の育苗に取り組む計画です。

 

キリマンジャロ山ではいまもときどき大雨が降っていて道のコンディションが悪く、堆肥や砂など育苗用資材の搬入がなかなかできずにいたのですが、ここにきてようやく搬入できるようになり、ダンプカーで運び込みを進めています(下写真)。

 

 

今年度は各苗畑での育苗体制も見直すことにしました。学校苗畑では担当教師を拡充し、学校全体で苗畑運営に目配りできるようにしました。村の苗畑では大人だけでななく、子どもたちにも苗木の育て方を教えていくことになりました。さっそく沢山の子どもたちが苗畑に集まってきています。すぐに飽きてしまいそうですが、どうしてどうしてみんななかなか熱心で、感心しきりです(下写真)。

 

 

育苗樹種は、植林の目的によって大きく次のような5つに分けることができます。(1) 荒廃裸地植林用(Pinus)、(2) 半乾燥地植林用(Senna sppなど)、(3) 森林再生と社会生活林(日本の里山に相当)の形成を目的とした樹種になります。(3)はさらに、(a) コーヒーの庇陰や薪、材木など多用途に使えるマルチパーパスツリー(Grevilleaなど)、(b) 土壌改善、家畜の飼料などに使える樹種(Calliandraなど)、(c) 蜜源樹(Crotonなど)に分けられます。これらの樹種は必ずしも個別に植えられるわけではなく、植林地の状況や地域の要望、将来的な森林の設計などによって組み合わせながら植えられます。

 

来年の植林に向けた各村との協議もすでに始まっています(下写真)。とくにタンザニアでは今年と来年が地方選と総選挙なため、地域でのコンセンサスが揺るがないようにとくに念入りに話し合いを進めておく必要があります。とはいうものの、国内はもう選挙に向けてざわざわとした雰囲気で、地域の首長などとのアポ取りもなかなか容易でなくなっています。

 

 

一方、村人たちの生活を支えてきた森が国立公園に取り込まれたこと、政府による条件付き現金給付プログラム(CCT:一部が賃金支払いによる有償での植林労働に向けられている)が、村人たちの植林へのモチベーションに大きく影響を及ぼしています。こうした社会環境の変化をどう乗り越えいていくかも、今後植林活動を継続していくうえで難しい課題となってきています。

 

9月はこうした課題への対処を、山麓の村々と話し合っていくことにしています。

タンザニア・ポレポレクラブ

作成日時: 2024/09/03 18:55

寄付プロジェクト: よみがえれ、キリマンジャロの森!