避難民が身を寄せるウクライナ国内の修道院を支援


写真:ウクライナに送るために隣国ポーランドの首都ワルシャワの修道院に集められた支援物資(2022年3月1日)汚れなき聖母マリアの修道女会提供
「ロシア軍の攻撃を恐れて逃げて来ました。私たちの国はこの先どうなってしまうのか、不安でたまりません」――。

東欧ウクライナへのロシアの軍事侵攻から1週間、約68万人の難民がポーランドなど周辺国に逃れる一方、国内の比較的安全な場所に留まる国内避難民も100万人超に上ります。AAR Japan[難民を助ける会]は、避難民が身を寄せるウクライナ西部テルノピリ州のカトリック修道院への1万ユーロ(約120万円)の資金提供を通じて、国内避難民への支援を開始します。テルノピリ州一帯には、首都キエフなど東部から連日多数の避難民が逃れてきています。

関係者によると、修道院には爆撃を受けた地域から女性と子どもを中心に数十人が避難していますが、「食料の備えが1週間分しかなく、薬もありません。今すぐ助けを必要としています」との緊急メッセージが届いています。ウクライナ政府が成人男性に祖国防衛への協力を呼び掛けていることもあって、避難民の大半は女性や子ども、高齢者です。AARは今回、ポーランド・ウクライナ両国にネットワークを持つカトリック教会と協力して現地に支援を届けます。ポーランド側で調達した食料、医薬品、衣類などの支援物資を陸路越境してウクライナ側に輸送する計画です。

ウクライナ難民が流入するポーランド、モルドバなど周辺国では、各国政府や国連機関、地元NGOが受け入れ体制を整えていますが、ウクライナ国内への直接支援は難しい状況にあります。AARは難民支援に向けた現地調査を近く実施するとともに、教会関係者や現地団体との連携を通じた国内避難民支援を進めています。

修道院があるテルノピリ州は中世以来、ポーランド領やオーストリア領となり、1939年にウクライナ・ソビエト社会主義共和国に編入され、1991年のソ連崩壊に伴うウクライナ独立を経て現在に至る複雑な歴史を持った地域です。

21世紀の今日、ウクライナは国際秩序を根底から覆す一方的な軍事侵攻によって、再び歴史の混乱の中に投げ出されています。AARのウクライナ難民・避難民に対する緊急支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
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