能登半島地震によって石川県内の多くの障がい福祉施設が、建物の損壊や断水など、ライフラインに関わる甚大な被害を受けました。AAR Japan[難民を助ける会]は、施設の管理者や職員の方々の不安や悩みに真摯に耳を傾ける「傾聴」の活動を行いながら、必要とされる支援を届けています。
震災後の思いをAARスタッフに吐露する「ともえ」の花田仁美さん(左)=石川県七尾市
石川県七尾市で障がい者福祉事業を行う共同生活援助事業所「ともえ」は、地震により施設の一部が損壊するなど大きな被害を受けました。断水が2カ月以上続き、職員の皆さんは近くを流れる川から汲んだ水をバケツリレーで施設に運び、生活用水として使用していました。障がいのある利用者さんが使う施設のトイレに水が通じるようになったのは2月中旬だったといいます。
「利用者と施設をどうするかが最優先でした。自分の家のことは後回しで、3月に入ってようやく自宅の片付けを始められました」と、ともえの代表の花田仁美さんは話します。自らも地震の被災者でありながら、利用者の方々の震災後のサポートに追われる中で、施設の職員の方々には肉体的な疲労に加えて、精神的にも大きな負担がありました。「毎日やることが多すぎて、疲れて頭も働かない。何をどうやっていけばいいかが分からなかった」と花田さんは話します。
ともえの職員の方と今後の対応について検討するAARスタッフ
AARは被災状況や支援のニーズを伺うためにともえを訪問し、花田さんや職員の皆さんからお話を聞きました。損壊部分を覆うブルーシートが垂れ下がる部屋で、1時間ほどお話を聞いたあと、花田さんは「あー、なんか、すごいすっきりしました! 話を聞いてもらえるだけでも、ほんとに楽になりました」と、安堵の表情を浮かべ、「AARの皆さんがどうすればいいのかを一緒に考えてくれることが、本当にありがたいです」と話しました。
ともえは、避難所生活を余儀なくされている障がい者を受け入れたり、今後の災害時・緊急時に避難場所として利用したりする施設の整備を計画しており、AARはそのサポートを検討しています。AARは、被災した方々の心を軽くする傾聴の活動を続けながら、被災地で必要とされている支援を続けてまいります。引き続き、AARの能登半島地震被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。