「ラストワンマイル」をつないで支援を届ける:能登半島地震

能登半島地震の発生から2カ月以上が経った今も、被災地では1万人以上が避難所での避難生活を余儀なくされ、4,500人以上が自宅での在宅避難を続けています。現場で救援物資を届けるにあたってしばしば直面するのが、物資集積所から個々の被災者の手に渡るまでの最後の区間で配達が滞ってしまう、いわゆる「ラストワンマイル問題」です。石川県内の障がい福祉施設を支援しているAAR Japan[難民を助ける会]は、地元のNPO法人や企業と連携して、この問題の克服に取り組んでいます。

 

壊滅的な被害を受けた交通インフラは、主要な幹線道路の復旧が急ピッチで進められる一方、人口が少ない地域では物資が届きにくい状況が続いています。NPO法人「石川バリアフリーツアーセンター」(金沢市)は、障がい者や高齢者に石川観光のバリアフリー情報などを提供しており、震災発生後はそのネットワークを生かして物資配付など支援活動を続けていますが、配送の人手が足りずにラストワンマイル問題に直面していました。

 

高齢者施設「第二長寿園」に石川バリアフリーツアーセンターから依頼を受けた介護用品を届けるAAR職員=石川県鳳珠郡能登町で2024年1月31日

 

「物資配付を手伝ってもらえないか」と相談を受けたAARは、同センターの配達を代行してAARの支援物資と一緒に効率良く配送するとともに、同センターが入手できずにいた食料品をAAR側が補填するなど、協力し合っています。

 

三菱食品社員(左)と打ち合わせをするAAR職員=同県七尾市で2024年2月12日

 

AARの被災者支援は多くの企業に協力していただいており、三菱食品株式会社(東京都文京区)のレトルト食品は、同社の社員が同県七尾市にあるAAR集積所まで輸送し、そこから先は各施設や避難所のニーズを把握しているAARが届けています。参鶏湯(サムゲタン)、グリーンカレーなど少し目新しいレトルト食品は、受け取った皆さんからは「毎日同じようなメニューになりがちな中、こうした食事は美味しいだけでなく気分転換になってうれしい」との声が上がっています。

 

在宅避難を続ける障がい者宅に食料や衛生用品を届けるAAR職員=同県輪島市で2024年1月12日

 

被災地の自治体では物資配付が一部終了するなど、自主避難所や在宅避難者に支援が届きにくい状況が続いています。AARは現在こうした人々へのサポートに力を入れています。引き続き、AARの能登半島地震被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。