【コラム】子どもの体験格差について

 

家族と一緒に行く旅行や夏休みに行うスイカ割り大会。子どものころの思い出を楽しく振り返るのは、だれかにとって、”当たり前”にできると思っていた体験だったりします。

 

7人に1人が相対的貧困状態で、文科省の最新の調査では不登校の数が過去最多の数となりました。こうした厳しい経済状況や社会から孤立しやすい環境にある子ども達は、自然に触れたり、友人や大人と関わる機会が少ないのではないかと指摘されており、子どもの頃の自然体験や地域活動の体験の有無はやる気や生きがい、思いやりや人間関係の能力といった、学力以外の生きる力に大きく影響していることも明らかになってきています。

 

私達が運営している居場所でも、「ここに来て初めて電車に乗った。」「はじめて友達とスイカ割りした。」「乗馬体験はなかなか普段できないから嬉しい」などの誰かにとって当たり前にできそうなことが、初めてだったという声を聞くことは珍しくはありません。

 

当法人では、こうした誰かにとって、当たり前に体験できる経験を体験プログラムとして行っています。内容として、月2〜3回ほど利用者の意見を拾い上げて企画したり、時には、市民、企業、行政などマルチステークホルダーとの協働で体験型のプログラムを行っています。

 

実際に体験プログラムを企画をする際には、子どもたちから直接スタッフに「○○をやってみたいです」とかしこまった形式で発信してもらうのではなく何気ない会話の中から「○○に興味があるなら○○をやってみる?」と自然な流れで「ちょっとやってみようかな」と一歩踏み出して体験プログラムを企画していく流れが多く、実現までの過程を大切にしています。

 

今回の修学旅行プログラムも実現までの過程を大切にしながら、子ども達の家庭環境や経済的な理由でだれかにとって”当たり前”にできる体験を1人でも多くの子ども達が経験する機会を作れるように、このクラウドファンディングにも取り組んでいきたいです。


NPO法人アスイク スタッフ 田中慎太郎