2025年3月、巨大地震に襲われたミャンマー北西部のザガイン地域は、内戦が続く同国でも最も激しい紛争地域の一つです。紛争と震災という「二重苦」に直面する被災者へのAARの支援活動を支えてくれたのは、社会から疎外されてきたLGBTQ(性的少数者)らでつくる現地団体でした。

防災研修で講師を務める現地団体のLGBTQ当事者(奥右、緑色の服の人物)と、当会スタッフ(同左)=ザガイン市で2025年12月
ミャンマーでは、性的マイノリティは「前世の罪の報い」や「道徳的な欠陥」と見なされることも少なくありません。学校でのいじめや家庭内での疎外、教育や就労機会の制限など、厳しい差別にさらされています。そのような環境に置かれてきた彼らが、今回の震災で「被災者の力になりたい」と真っ先に声を上げ、AARの理念に深く共感してくれました。
「痛み」を知るからこそ
協力団体は、普段は差別によって医療アクセスを阻まれているHIV/エイズ陽性者の支援を中心に活動しています。今回の支援では、配付物資の梱包や運搬、会場案内、受益者確認などをAARスタッフと共に担い、炎天下でも黙々と作業を続けました。

パンフレットを見ながら受益者に防災について説明するLGBTQの団体のスタッフ(中央)=ザガイン市で2025年12月
当初は戸惑いを感じていたスタッフもいました。しかし、共に活動する中で、その印象は大きく変わりました。ザガイン出身の女性スタッフは、「最初は不安もあったが、皆明るく、頼もしかった」と振り返ります。からかわれても「それが何か問題なの」と笑い飛ばしながら、人々のために汗を流す姿が強く心に残ったといいます。
被災地における「希望」に
受益者に配布する防災パンフレットの仕分け作業をするLGBTQの協力団体のスタッフ=ザガイン市で2025年12月
被災地では、支援を必要とする人にとって、支援する側の属性は関係ありません。必要なのは、目の前の苦しみに寄り添う想像力です。拒絶や孤立の痛みを知る彼らだからこそ、被災者の苦難に深く共感し、行動に移しました。その姿は、泥濘と硝煙に覆われた被災地に生まれた確かな希望であり、多様な人々が支え合う社会の力そのものだと感じています。
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