身体も心も温まる一杯 被災者が協力して炊き出し:能登半島地震

能登半島地震の発生から1カ月、石川県内では今も約1万4,000人が避難生活を送っています。AAR Japan[難民を助ける会]の緊急支援チームは、発生直後からパートナー団体とともに炊き出しを開始し、2月からは輪島市内のレストランのシェフら地元有志グループが自ら取り組む炊き出し活動をサポートします。

 

炊き出しの調理をするシェフ池端隼也さん=石川県輪島市で2月1日

 

輪島市内の被災者など有志による「ラトリエ炊き出し」は、フレンチレストラン『ラトリエ ドゥ ノト』のシェフ池端隼也さんが中心となって、一日約1,500~1,600食を近隣の在宅避難者や避難所に身を寄せる方々に毎日提供しています。中華丼、カレー、シチューなど野菜をふんだんに使ったり減塩したり、高齢者を含む皆さんの健康に配慮して栄養バランスを考えた食事を心がけています。

 

炊き出しメンバーに登録しているのは被災住民を含む25人。池端さん自身もレストランと自宅が倒壊し、キャンピングカーで生活しています。池端さんは「自宅で避難している人、未だに車中泊している人も多いので、避難所だけでなく、そうした方々にも温かい食事を届けたいと思います。今は皆で力を合わせて乗り切るしかありません」。そして、「いつになるか分かりませんが、やむを得ず輪島市外や県外に避難した人たちが戻ってくる時に、輪島を出たことが申し訳ないという気持ちにさせないように温かく迎えて、一緒に良い街を再興していきたい」と付け加えました。

 

メンバーの女性は「地震発生直後は家族で高台に避難し、津波警報が注意報に切り替わった後、自宅近くで車中泊しました。地元の神社で炊き出しを手伝っている時、知人からラトリエ炊き出しに誘われました。自宅は一部損壊で物が散乱しており、中学生の娘も私も家にいてもつらいだけですが、この活動に参加することで笑顔になれます」と話します。

 

被災者自身が炊き出しに参加

 

 

炊き出しを受けとった近隣住民は「今日も寒さが厳しくて、こうして温かくて野菜がたくさん入っている食事をいただいて本当に助かっています」と笑顔を見せました。被災者自身が積極的に力を合わせて用意した炊き出しの料理は、身体も心も温まる一杯になっています。

 

ラトリエの炊き出しは当初、海外の団体から資金提供を受けていましたが、1月末で支援が終了するため、池端さんたちから要請を受けたAARが引き継ぎ、2月以降は運営に必要な人件費をカバーします。

 

AARは引き続き、被災地の皆さんや他団体とも連携しながら支援活動を続けてまいります。AARの能登半島地震緊急支援のご協力を重ねてお願い申し上げます。

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