能登半島地震の発生から1週間が過ぎて、これまでに120人以上の方が亡くなり、未だ多数の方々の安否が確認できていません。AAR Japan[難民を助ける会]は緊急支援チームが、避難所での炊き出し、障がい福祉施設への支援物資配付を行っているほか、さまざまな支援から取り残された外国人被災者のサポートを開始しました。
被災外国人の住居を訪問して話を聞くAAR職員の櫻井佑樹=石川県七尾市で1月6日
近くに頼れる相手もなく
AARは被災地の福祉ネットワークや他の支援団体と連携して緊急支援を進めています。石川県に在住する外国籍およびに日本国籍取得者を支援するNPO法人YOU-I(同県野々市市)の依頼を受けて、七尾市内で在宅避難中のアジア出身者を訪問しました。
「地震が起きた直後、近くの小学校の避難所に行って支援物資を一度だけもらいました。仕事があるので自宅アパートに戻っているので、その後は何も受け取れず、YU-Iに連絡してカップめんなどをもらいました」
インドネシア出身のモッコウさんは、同じく農業に従事するネパール出身の3人と共同生活をしています。4人とも近くに頼れる友人や知人はおらず、「食事は1日1回カップめんを食べるだけで、飲み水も食料もなくて困っています」と話します。AARはその場でペットボトル入り飲料水やレトルトごはん、カレー、缶詰などを4人に手渡すと、モッコウさんは「テリマカシバニャック!」(ありがとうございます)と少しだけほっとした表情を見せました。
インドネシア出身のモッコウさん(左端)らとAAR職員の櫻井佑樹
行政の支援情報「知らなかった」
「最初は近くの小学校に避難しましたが、人がいっぱいだったので、仕方なくアパートに戻って生活しています」。ベトナム出身のレティさん、クアットさんは、働いていたホテルが震災で休業になり、「自宅待機」を続けています。「あと2週間ほどで他の仕事場に異動になるので引っ越す予定ですが、それまではここで何とかしのがなければなりません」と険しい表情で話します。
レティさんたちは行政や支援団体からの支援情報をまったく知らなかったため、AARは飲料水を手渡すとともに、七尾市役所の窓口やYU-Iなどの連絡先を伝えました。同市役所によると、外国人の生活相談は地域づくり支援課が窓口になっていますが、そうした情報が伝わっておらず、震災後の問い合わせは来ていないとのことでした。
断水のためアパートの前で食器を洗うベトナム出身の女性
大規模な災害発生時には、障がい者や高齢者、外国人居住者など弱い立場にある人々が支援から取り残されがちです。AARはこれまで重視してきた被災地の障がい福祉施設への支援に加え、外国人居住者へのサポートに取り組んでまいります。AARの能登半島地震緊急支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
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