2025年12月に激化したタイとの軍事衝突により、カンボジア西部ポーサット州では多くの住民が避難を余儀なくされました。タイ国境近くの避難所では、61世帯170人がビニールハウスを利用した仮設住宅で今も避難生活を送り、自宅への帰還のめどは立っていません。AARはこの避難所で、子どもたちへの学習支援を行っています。
ビニールハウスを利用した仮設住宅=ポーサット州の避難所で2026年6月11日
約半数の避難民は仕事を失い、残りの人々は農業や建設、掃除などの日雇い仕事をしています。「軍事衝突で自宅が壊された」「住んでいた場所がタイ軍に占領された」「地雷や不発弾が残っている」。人々からはこうした悲痛な声が聞こえてきます。
避難生活が長引く中、中学生と高校生は避難所に隣接する学校へ通えるようになりました。一方で、小学校は避難所から約3km離れており、小学生は学校に通えていません。保護者は、通学中の交通事故や学校でのいじめ、慣れない環境になじめるかといった不安もあり、子どもを学校に送り出すことをためらっています。
学習クラスで教えるセム・ヴァンディ先生=ポーサット州の避難所で2026年6月11日
AARは2月から避難所内の学習クラス2教室の運営を支援し、教員3人に日当を支給。22人の子どもたちが毎日、読み書きや計算を学んでいます。セム・ヴァンディ先生は「子どもたちは避難生活での恐怖を少しずつ乗り越え、自信を取り戻しつつあります」と話します。
AAR職員のインタビューに答えるセム・ヴァンディ先生(右)=ポーサット州の避難所で2026年6月11日
一方で、教員は小学校での勤務後の午後3時以降しか指導できず、授業は1日約2時間。正規カリキュラムに沿った教育は困難です。
郡教育事務所と地元の小学校は、避難児童の受け入れ準備を進めていますが、課題は保護者の不安をやわらげ、通学手段を確保することでした。そこでAARは、バイクや車での送迎など、家庭ごとに無理のない通学手段を整備しました。7月からは、避難所内での学習クラスを続けながら、子どもたちが少しずつ地元の学校になじめるよう、通学を後押ししています。
AARは地域の教育関係者と協力しながら、国内避難民となった子どもたちへの教育支援に取り組んでいます。
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