外国人労働者オンライン相談事業 定期報告 2025年10月,11月

オンライン相談(202510月~202511月)の報告

 

202510月  24件(ベトナム語22件、インドネシア語1件、フィリピン語1件)

202511月  14件(ベトナム語8件、インドネシア語3件、フィリピン語1件、クメール語1件、日本語1件)

★ 2ヶ月の合計 38

    相談者の国籍:ベトナム31、インドネシア4、フィリピン2、カンボジア1

    相談者の性別:女性18、男性20

    相談者の住所地:関西14、関東4など

    相談者の在留資格:技能実習15、特定技能10、技術・人文知識・国際業務6など

    相談内容:労働24、在留資格13、社会保障6など

 

【相談事例から】

 

» 縫製業の技能実習2号、来日3年目。人間関係の問題で転籍し、今の会社で5ヶ月働いている。雇用契約書がなく、賃金は毎月現金で渡されるだけで賃金明細もないため、賃金が法律通りに払われているかどうかわからない。最近会社の指示で早退させられたり、休まされたりしている。会社の敷地内に住んでいるが、看板もなく会社の名前さえわからない。この会社を辞めて転籍したい。監理団体の名前も知らない。

⇒ 未払い賃金もありそうなので、地域の労働組合に加入して会社と交渉してはどうかと勧めたが、相談者はとにかく転籍が実現すればいいという希望であった。相談者がOTIT(外国人技能実習機構)地方事務所に転籍について相談した翌日、監理団体の責任者が会社に来て転籍先を探すことに同意した。

 雇用契約書も、賃金明細もない、実習生本人が会社、監理団体の名前も知らないという現状に、技能実習法成立後もこのような事例があるのかと唖然とさせられた。また、相談者の転籍が実現しても、この会社の実習実施先として不適切な状態が改善されないままであることは、問題として残される。

 

» 建設業の特定技能1号。建設現場で働いていた時、日本人の同僚(契約職員)から暴力を受けて、何針か縫うけがをした。この同僚からはこれまでにも暴言や暴力を受けていた。会社は治療費と、休業補償として60%の賃金を支払う、慰謝料についても提案すると言っている。

⇒ 相談者は警察に被害届を出すかどうか迷っていた。けがをした時の写真や診断書があり、それ以前にも加害者に殴られた時の動画が保存されていた。証拠があるので警察に被害届を出して暴力の実態を明らかにし、今後二度と同じことが起こらないよう会社に対して責任追及をしてはどうか、必要であればRINK、労働組合がサポートする、とアドバイスしたが、相談者は会社の提案を受け入れることを選択した。

 

» 金属加工業の技能実習生。職場の特定技能1号の先輩から顔を叩かれた。診断書はないが同じ実習生の目撃者はいる。監理団体に相談したが取りあってもらえない。このままだと安心して仕事ができないので転籍したい。警察に相談した方がいいか。

⇒ 地元の労働組合を紹介した。最近同じ職場の同国人の先輩(特定技能)からいじめや暴力を受けたという技能実習生からの相談が増えている。会社に相談しても、職歴が長く職場のリーダーとして働いている先輩の言い分が通ってしまう。しかも、会社に訴えたことでますます先輩との関係が悪くなる。そうした現状があって、実習生は泣き寝入りさせられてしまうようだ。

 

» 特定技能1号(ビルクリーニング)に移行するための特定活動。3ヶ月間働いた会社で社会保険、厚生年金に入っていたはずだった(雇用契約書には控除するとされていた)が、年金事務所からその期間の国民年金料を支払うよう通知が来たので、それを支払った。この会社では給与明細がなく、手渡しで現金を渡されていたため、社会保険料を払っていたことが証明できない。会社と登録支援機関に給与明細と源泉徴収票を送ってくれるよう頼んでいるが送ってくれない。この会社は残業代も支払ってくれなかったので退職した。

⇒ RINKの相談員が会社に電話して、給与明細と源泉徴収票の発行を依頼した。社長の受け答えから、この会社はこれまで外国人、日本人にかかわらず労働者を雇用したことがなかったと推測された。おそらく、登録支援機関から特定技能外国人を紹介され、すべての手続き、労務管理などを登録支援機関に丸投げする形で雇用し始めたと思われる。最近の特定技能労働者の相談で、雇用主に労基法や入管法の知識がないとしか思えない事例があるが、その背景にはこのような実態があるのではないだろうか。

 社長は税理士と相談して発行するので待ってほしいと返答した。相談者には、いつまで経っても発行されない時は、労基署に申告し、税務署には源泉徴収票不交付の届出をするようアドバイスした。

 

» プラスチック成型の技能実習2号で3年目。妊娠を報告したところ、会社と監理団体に健康面が心配だと説得され、退職手続きをして母国に帰国した。監理団体は相談者に対し、出国時に空港入管で「在留期限までに再来日しない」と説明して、在留カードに穴をあけてもらってから帰国するよう指示した。しかし、相談者は空港の出国ゲートで事情を聞かれ、「できれば再来日したい」と意思表示したので、入管職員は在留カードに穴をあけなかった。在留期限は20265月末まである。監理団体に連絡したところ、日本に戻るなら転籍先を探すと言っている。12月末に出産予定。出産後は、子どもを両親に預けて再来日し、技能実習を修了して、技能実習3号か特定技能1号に移行して働き続けたい。

⇒ 相談者に、会社には妊婦に配慮しながら雇用し続ける義務があることを伝えると、当時それを知っていれば退職に同意しなかった、と悔しがっていた。今後については、出産後の様子を見て早めに監理団体と連絡を取り、いつごろ再来日できるかをはっきり伝えて転籍先を探してもらうようにする。在留期限までに転籍先が見つからない場合は、特定活動への変更もできるので、少し余裕をもって再来日する。監理団体とは連絡を密にし、監理団体の対応がよくないようならメールでOTITに相談することなどをアドバイスした。

この事例のように、OTITが会社、監理団体に注意喚起しているにもかかわらず、実習生に妊娠・出産しても働き続ける権利があることをきちんと知らせず、見なし再入国許可[*]を取らせないようにして帰国させる事例は少なくない。

[*] 在留資格の有効期間中に、一時帰国してから再来日(再入国)するためには、あらかじめ地方入管局で「再入国許可」をとるか、あるいは出国時に空港入管で「再来日する」と意思表示する(「見なし再入国許可」)。どちらも行わないと、在留カードに穴を開けられて、出国と同時に在留資格も無効になる。