外国人労働者オンライン相談事業 定期報告 2025年8月,9月

オンライン相談(20258月~20259月)の報告

 

20258月  11件(ベトナム語7件、インドネシア語1件、フィリピン語3件)

20259月  16件(ベトナム語10件、インドネシア語1件、フィリピン語1件、クメール語3件、日本語1件)

 

★ 2ヶ月の合計 27

    相談者の国籍:ベトナム17、インドネシア2、フィリピン4、カンボジア4

    相談者の性別:女性14、男性13

    相談者の住所地:関西11、関東6など

    相談者の在留資格:技能実習13、特定技能5、技術・人文知識・国際業務2など

    相談内容:労働21、在留資格11、社会保障6など

 

【相談事例から】

 

» 食品加工の技能実習生。2号を修了したが、今の会社は3号への移行はさせてくれない。技能検定3級の試験も受けさせてもらえていないので、他の会社に行って3号で働くこともできない。日本で働き続ける方法はないか。

⇒飲食料品製造業の特定技能1号に移行する方法はあるが、技能実習と違う会社で働く場合は、技能検定3級に合格しているか、技能実習をしていた会社・監理団体に技能実習を良好に修了したという「評価調書」を書いてもらう必要がある。しかし、この「評価調書」は、会社・監理団体が実習生の要望に応じて必ず書かなければならないという法的義務がないため、書いてもらえないことも多い、と伝えた。それ以上の対応はできなかった。

       会社が必要なければ実習生に検定試験を受けさせないという、この会社のような対応によって、実習生の日本で働き続けたいという希望の実現が事実上難しくなっている。

 

» 機械施工の技能実習2年目。会社の事業縮小で13人の実習生が解雇された。監理団体は転籍先を探しており、これまで2社と面接したが、解雇された人数が多いため、まだ就職できない人が残っている。在留期限が迫っていて、監理団体は帰国するよう圧力をかけている。

⇒オンライン相談では、職業紹介はできないので、相談者の希望に応えることができなかった。

    会社の倒産や事業縮小による解雇事案であれば、監理団体に任せきりにするのではなく、外国人技能実習機構(OTIT)ももっと積極的に転籍先探しに協力し、監理団体を指導すべきではないだろうか。在留資格は特定活動に変更できるし、この事案なら資格外活動も許可される。監理団体にこれらの実習生の技能実習修了まで責任をもつという姿勢がなさすぎる。

 

» 20263月出産予定の特定技能1号の介護労働者。2年以上働いている所属施設から産前産後休業・育休は認めない旨の話をされている。雇用契約は1年の有期契約で、期限は202511月末までである。里帰り出産のために11月初旬には帰国し、20268月頃に再来日しようと考えている。出産育児一時金の受給について聞きたい。

⇒出産育児一時金は受け取れる。雇用契約書を確認したところ、自動更新するとなっているので、会社に雇用契約を更新するよう要求してはどうか。産前休暇に入る前に帰国するなら、産休開始前の社会保険料の支払い方法をはっきりさせること。会社にいつごろ再来日して働くのかを明確に伝えて話し合えば、更新が認められる可能性がある。労働者の希望に反して産前産後休業・育休を認めないことは法律違反なので、自信をもって会社と話し合うよう、問題があればまた相談してくれるようアドバイスした。

 

» 農業の特定技能13年目。社長のパワハラなどもあったため退職した。その後別々のブローカーを頼って2回就職活動をしたが、お金を払ったのにいずれも正式に働けるようにしてもらえなかった。2度目の農家では、在留資格変更申請手続きがされる前に10日間働かされた分の賃金が支払われていない。今は友人宅に身を寄せて、引き続き転籍先を探しているが、またブローカーに騙されるのではないかと恐れている。

⇒賃金未払については地元の労働組合を紹介した。ブローカーには120万円近く支払っている。2回目のブローカーからは全額返金された。相談者によると、面接の前に前金をとる場合もあれば、前金はなしで面接に合格した段階でお金を払わせる場合もある。職業紹介で労働者から紹介手数料をとるのは違法だが、実際に請求されている費用が、紹介手数料にあたるかどうかは必ずしも明確ではない。

このような相談は、カンボジア人労働者に特に多い。あるブローカーが20人以上からお金をとって紹介した先が同じ会社で、その会社はそれらの労働者と雇用契約を結んだことはなく、多数のカンボジア人労働者から問い合わせを受けて困っているという事例まで出ている。

 

» 電子機器組立ての技能実習2号の1年目。体調が悪く監理団体に病院への通訳同行を頼んだが、なかなか対応してくれなかったため、会社の許可を得て母国に一時帰国した。10日ほど治療して症状が改善したので、就労に問題ないという診断書も発行してもらい日本に戻ったところ、監理団体から1ヶ月半休業するよう指示された。その後、在留資格の更新時期が迫るなか、突然監理団体から会社には戻れない、在留資格の延長はしないので帰国するように言われた。納得がいかず、OTIT地方事務所に相談に行った結果、OTITの指導により監理団体は短期滞在への在留資格変更申請を行った。元の会社で働き続けたい。会社からは直接何も言われていない。

⇒相談者は地元の労働組合に加入、労組と会社との話し合いの結果、会社は相談者の復職に応じた。現在相談者は元の会社で技能実習2号の在留資格が許可され、働き始めることができるのを待っている。

 

» 介護の技能実習生。20261月で3年の実習を修了する。今の施設が特定技能1号に移行するための雇用契約書を9月末までに締結すると言っていて、サインするよう迫っている。相談者はこの施設ではなく、別の施設で特定技能に移行したいが、サインしなかったら、必要書類などを発行してくれないなど、今の施設から嫌がらせを受けるのではないかと心配している。この施設では有給休暇も取らせてくれないなどいろいろと問題がある。

 

⇒相談者には特定技能に移行して働く会社を自分で選ぶ自由がある。現在の会社が雇用継続を強要することはできない。会社に自分の意思をはっきりと伝え、雇用契約書には絶対にサインしないように、もしそれが理由で会社が何か不利益なことをしてきたら、また相談してくれるようアドバイスした。