● 事例 (2) 労働保険の手続き(労災保険や雇用保険)
○ 通勤中の交通事故。弁護士に依頼して解決。
食品加工の会社で働いていたベトナム人のFさんは、自転車で通勤する途中、自動車にはねられる交通事故に遭ってしまった。相手の保険会社から示談の申し出があったが、雇用会社や支援機関(特定技能制度で、労働者の生活の世話をする役目の団体)は十分に支援をしなかった。
Fさんのオンライン相談を受けて、オンライン担当者は弁護士を紹介し、またFさん、通訳者と三人で弁護士事務所へ行った。Fさんは、労働災害保険の申請や保険会社との交渉を弁護士に依頼することになった。
⬅︎ 必要であれば、弁護士を紹介する。
○ 労災保険についてオンラインで指導して、労働者が自分で手続きを行なった事例。
ベトナム人のGさんは、香川県の金属加工業で技能実習生として働いていたが、仕事中に金型が足に落ちて骨折するケガをして、後遺障害も残ってしまった。ところが、会社と監理団体は、労災保険の障害保障の手続きをしてくれない。そこでGさんはオンライン相談に連絡した。
⬅︎ こんな事例がよくある。会社が、労災保険の手続きをしない(これは労災隠し)。あるいは、療養保障(医療費)の手続きだけしかしない。この事例では、療養保障と休業補償はしたが、障害保障(後遺症)をしなかった。
Gさんが遠くに住んでいたので、オンライン担当者がオンラインで申請書の書き方や手続きの手順をアドバイスして、Gさん自身が労働基準監督署で手続きをはじめた。Gさんが困ったときには、なんどもオンラインで話し合った。Gさんは最後まで自力で手続きを行い、後遺障害の補償を受け取ることができた。
⬅︎ オンラインならば、遠隔地でもていねいに指導できる。外国人労働者が自分で手続きをすることもだいじ。
○ ハローワーク職員の間違いを訂正させた事例。
技能実習生として働いていたHさん(ベトナム人)は、解雇されたが、日本語の「退職願」に署名させられた。ともかく失業手当を申請するために、オンライン担当者とハローワークに行ったところ、職員は「実習生は、自己都合退職の場合には失業手当は給付されない」と主張して受け付けなかった。これは間違いなので、オンライン担当者が抗議したところ、職員は「調べます」と答えた。後日、職員は誤りを認めて、申請を受け付けた。
⬅︎ 外国人の事例に不慣れな行政窓口では、こうした初歩的な間違いがときどきある。