食事が私に元気をくれました:レバノン人道支援

AAR は2025年4月から、レバノンの首都ベイルート近郊の山岳レバノン県を中心とした地域で、高齢者、障がい者、重度の精神疾患を抱える人、ジェンダーに基づく暴力被害を受けた女性やその子どもたちが暮らす、10の福祉施設への食料支援を行っています。経済危機や政府補助金の削減などにより、これらの施設では深刻な経営難に直面しており、AARはこれまで、現地協力団体と連携し、約2,500人に約42,000食の食事を提供してきました。今回の活動報告では、5月に現地を訪問した東京事務局の栁田純子が、福祉施設での聞き取りや現場の様子を報告します。

 

協力団体の食品工場で、支援物資の食料を視察する栁田(ケセルワン・ジュベイル県 レバノン 2025年5月)

 

私(栁田純子)は5月26日、1977年創設のキリスト教系福祉施設を訪問しました。施設は静かな山の中にあり、全体的に質素で落ち着いた印象の建物でした。ここには255人が入居しており、約8割が高齢者、2割が障がい者です。

 

この福祉施設では、3年遅れでようやく政府から補助金が支給されましたが、金額は3年前のまま。「障がい者1人分の生活費として支給された額でも、現在では500mlの水1本しか買えません。施設は常にギリギリの状態で運営されています」と、シスターは話します。

 

AARが提供した食事の準備をする福祉施設の職員(ケセルワン・ジュベイル県 レバノン 2025年5月)

 

今回の訪問では、施設で生活するアロンドラさん(30歳)にお話をうかがいました。彼女は、レバノン南部の村で家族5人と暮らしていましたが、子どもの頃からてんかんの発作があり、昨年の紛争以降、不安から記憶がなくなったり、判断力が低下したりしてきたそうです。心配した家族は、2024年10月に彼女を福祉施設に入所させました。

 

「AARが提供してくれた食事のなかでは、チキンライスとレンズ豆の煮込みが好きです。食事は日替わりで、今日は何が出るのだろうと毎日楽しみです。家族と離れて暮らすのは寂しいけれど、AARの食事は私に元気をくれました」とアロンドラさん。

 

アロンドラさん(右)にインタビューする栁田(山岳レバノン県 レバノン 2025年5月)

 

施設のスタッフからは「停電が続く中でも、電気を使わずに出せるのが良い」「清潔で助かる」との声が寄せられており、支援がスタッフの負担軽減にもつながっているという点が、私には嬉しく感じられました。また、入居している方々が、施設で安定した食生活を送れることが、離れて暮らす家族の安心にもつながっており、支援の間接的な効果も確認できました。

 

レバノンでは依然として厳しい状況が続いています。AARのレバノンでの支援活動にご協力くださいますよう、お願い申し上げます。

 

🔽ご支援はこちらから