氷点下20℃、ウクライナが迎える「独立以来最悪の冬」への備え

©Alberto Lores for People in Need

 

 

現在、1570万人のウクライナ人が人道支援を必要としていると推定され、その内、国内の避難民は170万人、破損した家屋や断熱・保温の不十分な家屋で生活している人々は100万人に上ると見られます。


まもなく迎える冬本番は、氷点下20度を超える、「ウクライナ独立以来最悪の冬」になると予想されており、何百万人もの人々に深刻な影響を与えることになります。


これに対し、防寒対策と十分な備えをすることにより、暖かく、安全で、尊厳のある生活環境を確保することができます。冬の死亡率を抑えるためには、住宅やエネルギーインフラの被害にも対応することが重要です。


さらに、弱い立場にある人々が取り残されることの内容、シェルター、水と衛生、保健、そして、ジェンダーに基づく暴力(GBV)などからの保護といった、各分野を統合した多方面からのアプローチを加えることが必要です。

 

 

ウクライナ各地の平均気温(2021年12月)

 

 

CAREの冬対策
CAREとパートナー団体は、戦争の影響を受けた人々の緊急のニーズに迅速に対応しながら、早期復興のための基礎を築くための冬対策プログラムを策定しました。


これから迎える冬の間、緊急のニーズに対応するための迅速な対応は不可欠ですが、戦況によって、年明けには新たな冬支度のニーズが発生する可能性があります。したがって、冬対策プログラムには、その後の状況を予測し、準備するための要素も含まれています。ジェンダーは私たちのすべてのプログラムの中心であるため、ジェンダー主流化とジェンダーに基づく暴力(GBV)の予防と対応を含む保護の要素は、冬対策プログラムの全般に織り込まれています。

 

 

ターゲットとアプローチ
冬対策プログラムは、「一律」のアプローチを避け、さまざまなレベルのニーズに対応するために、支援の階層を分けて構成されています(多層型)。

 

戦争の影響を受けた、東部のハリコフ・ドニプロ・ザポリジャー両県も対象に、最も脆弱な立場にある人々を優先しながら、女性や女子の保護とジェンダーに基づく暴力(GBV)の防止に重点を置いて活動を行います。

 

■第1階層 - 家庭向け 防寒対策キット
緊急キットの提供を中心とした、救命または予防のための予見的行動です。世帯別に緊急性を評価して行います。衣類、保温性の高い毛布、掛け布団、マットレス、固形燃料の配布、水と衛生/尊厳キット、市場が機能している場合は冬支度のための現金などを提供します。

 

■第2階層 - 家庭向け 修繕・改修
最も脆弱な人々のために、個々の家屋に重要な断熱材、修理、取り付けを提供するプログラムです。地元と連携して、緊急に冬対策が必要な家庭を特定することから始めます。地方公共団体と連携して、脆弱性選択基準を適用します。

 

技術スタッフによる現地での被害調査の後、家族との話し合いや合意を含め、正確な修繕計画を決定します。ドアや窓の交換、隙間の塞ぎ、壁/床/天井の設置など、非構造的な修理も含まれます。

 

■第3階層 - 施設の改修
市民センター、学校、社会福祉施設などは、弱い立場にある国内避難民や被災者の避難所として重要な役割を果たしています。これらの建物や施設を、災害時に用いられる国際的な基準を満たすように改修し、今後の冬期や潜在的な移転に備えて、緊急避難所のインフラを強化します。これには、暖房システム、断熱材、寝具、雨漏りする屋根の修理や、隙間の塞ぎ、最低限必要な断熱基準を確保するための窓の交換などが含まれます。

 

■第4階層 - 避難所支援サービスへのアクセス
このプログラムを通じて評価・支援された受益者に対して、少なくとも今後1年間は、法的・心理社会的支援を含む継続的なシェルター支援サービスを提供することで、早期復興を後押しします。被災者に対するこれらの重要な支援サービスは、パートナー団体からのフィードバックで、緊急かつ継続的なニーズとして強調されてきたものです。

 

 

CAREは国際NGOとして、世界中にはりめぐらされたグローバルネットワークと、これまでに行った、シリア難民やロヒンギャ難民への人道支援、またアフガニスタンでの緊急支援などの経験を踏まえて、常にアップデートを行いながら支援を届けてまいります。