「届いた発電機を見て涙が出ました」:厳冬期迎えるウクライナ障がい者支援

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、発電所などインフラ施設への攻撃を受けて各地で停電が相次ぎ、厳しい冬場を迎えて暖房設備が使えない事態が発生しています。AAR Japan[難民を助ける会]は、これまで支援してきた現地の障がい者団体・施設に発電機11台、ソーラーパネル1基を提供しました。


小さな灯を頼りにミーティングするジェレラのメンバー=ウクライナ・ボフスラフ市にある同団体の施設で(ジェレラ提供)

電気は1日に数時間だけ

AARは6月以降、ウクライナ国内の3都市の障がい者団体を通じて、障がい者とその家族の支援を続けています。現地からの要請を受けて、このほど、同国西部チェルニウツィ州の車いす利用者などの団体「リーダー(Leader)」に発電機11台、首都キーウを拠点とする知的障がい者の親の会「ジェレラ(Djerela)」にソーラーパネル1基をそれぞれ送っています。

リーダーは、チェルニウツィ州政府と協力して障がい者団体への支援を行っています。発電機11台は、障害のある国内避難民などが身を寄せる州内の高齢者施設、障がい者福祉施設で利用されます。現地では頻繁な停電のためにメールのやり取りも難しい状況ですが、リーダー代表、ヴァレンティーナ・ドブリディナさんは「届けられた発電機を見て涙が出ました。各施設の担当者に『発電機が届くよ』と知らせたら、彼らも同じように泣きました。日本の皆さんの温かい支援に心から感謝しています」とのメッセージを送ってくれました。


織物の教室を見学する障がい者の皆さん(ジェレラ提供)

ソーラーシステムも提供

ジェレラでは、空襲警報や爆音、停電におびえる知的障がい者の精神的なケアや家族の休息のため、一時的に知的障がい者に静かな環境で過ごしてもらう「レスパイト・ケア」をAARの支援で実施しています。このケアを行う施設はキーウから120キロ離れた場所にありますが、現在は電気が1日数時間しか通じず、ボイラーでお湯を沸かして洗濯することもできない状況です。AARが提供したソーラーパネルは、この施設の電力供給のために使われます。

ジェレラの職員、オリハさんは「施設に到着した障がい者は、皆とても喜んでいます。彼らはこの家(施設)も、いつも同行してくれるスタッフのことも大好きで、遠足に行ったり織物教室に参加したりしています」と最近の様子を知らせてくれました。ソーラーシステムは、必要な周辺機器を調達のうえ、近く稼働する予定です。施設にはまきやガスのボイラーがあり、寒さは問題ないといいます。


雪の中、笑顔で遠足を楽しむ障がい者のみなさん(ジェレラ提供)

AARはこのほか、障害のある国内避難民への現金給付や食料配付、大型洗濯機など家電製品、生理用品・おむつの提供といった支援に取り組んでいます。軍事侵攻が終わる兆しは見えず、ウクライナの人々の苦境はしばらく続くと考えられます。AARのウクライナ人道支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。

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