持病抱えるウクライナ難民をサポート:モルドバ

ウクライナの人道危機が始まって9カ月余り、西隣の小さな国モルドバには累計約70万人の難民が流入し、現在9万6,000人余りが何らかの支援を受けて滞在しています(11月末時点)。AAR Japan[難民を助ける会]は3月に緊急支援を開始し、5月にはモルドバの首都キシナウに現地事務所を開設して支援活動を続けています。

難民の中には高齢者をはじめ、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を抱えたまま、長引く避難生活を強いられている人々がいます。AARはキシナウ市内の大学寮に滞在する難民に対して、市販の医薬品や血圧測定器、血糖値測定器のほか、健康維持に欠かせない食材などを提供しています。


隣国モルドバで避難生活を続けるタチアナさん。左は夫と娘

黒海に面したウクライナ南部オデーサ(オデッサ)から娘や孫とともに逃れて来たタチアナさんは、夫婦とも70代で糖尿病と多発性神経炎を患っています。この数カ月間のストレスと心痛で体調を崩し、キシナウの病院で診察を受けたものの、医師から「このような症状では無料で薬を出すことはできない。地元の人も同じです」と告げられたといいます。


AARが大学寮に開設した子ども用スペースで遊ぶタチアナさんの孫サーシャくん

AARは当初から温かい食事や食材を提供してきましたが、糖尿病患者は特に食事に気を付ける必要があるため、新鮮な野菜やフルーツ、たんぱく源などバランスにも気を配っています。また、タチアナさんたちの要望に応えて、健康管理のための測定器や医薬品を届けました。他にも婦人科系の疾患を抱える女性など、避難先で充分な医療サービスにアクセスできずにいる人々から相談を受けて、できる限り対応しています。


AARが提供した医薬品、血圧測定器など

タチアナさんは「もっと早く家に帰れると思っていましたが、この先どうなるか分かりません。冬が近付いて寒くなってきたし、不安が募るばかりです」と訴える一方で、「AARを通じて私たちを支援してくれている日本の皆さんに感謝します」と話します。

人道危機の終息が見通せない中、AARはモルドバに滞在する難民に加え、ウクライナ国内の障がい者団体や国内避難民への支援に取り組んでいます。AARのウクライナ人道支援へのご理解・ご協力を重ねてお願い申し上げます。

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