障がい者世帯に食料など配付:ミャンマー緊急支援

ミャンマーの非常事態宣言発令(2月1日)から8カ月余り、政治・社会の混乱は悪化の一途をたどり、市民の犠牲者は1,158人(10月4日時点)に上ります。追い打ちをかけるように、6月以降は新型コロナウイルスが猛威を振るい、7月には一日当たりの新規感染者数が7,000人を超す日も報告されました。
対応できる医療機関が圧倒的に不足しており、ほとんどの国民がこの間、自宅での療養を余儀なくされたうえ、薬や酸素ボンベ、日用品の価格が高騰して、経済的な理由でそれらを購入できない家庭も多くありました。8月以降は徐々に感染が収まりつつありますが、今も毎日2,000人近い感染者が報告され、予断を許さない状況が続いています。

政情不安とコロナ感染による二重の恐怖を抱いて人々が暮らす中、AAR Japan[難民を助ける会]は5月以降、混乱の影響で経済的に追い詰められた障がい者や貧困世帯に対する緊急支援を実施しています。9月上旬に最大都市ヤンゴン市内の障がい児家庭30世帯に2カ月分の食費に相当する生活費(約6,000円)を配付。9月中旬から10月にかけては、同市内の障がい者約90人に対して、2カ月分の食料(コメ・食料油・缶詰、マスク・手指消毒液などの衛生用品)を手渡しています。現地では少しでも目立つ行動をとるのは危険なため、食料などの配付は現地職員に代わって地元の配送サービスを利用しています。

「手を差し伸べてくれて心から感謝します」

アウン・ピョー・ハンさんは、ポリオで右足に障がいがあり、歩行には松葉づえが必要です。2017年に当会の職業訓練校でコンピュータ技術を学び、現在はヤンゴン市内の会社で働いています。しかし、情勢不安を受けて会社の業績が急激に悪化し、多くの同僚が解雇されました。アウンさんは解雇を免れたものの、少ない人数で業務をこなさなければならず、業務量や責任が増えたうえに、給料は減額されました。
アウンさんは7月に新型コロナと思われる症状で寝込んでしまいました。幸い1週間程度で収まりましたが、「もしあの時に症状が悪化していたら、薬を買うことも医療機関にかかることもできず、大変なことになっていた」と当時を振り返ります。
AARから食料や衛生用品を受け取ったアウンさんは、「世界中が混とんとする中、ミャンマーに関心を持ち続けてくれて、私たち障がい者に手を差し伸べてくださることに心から感謝します。今も先は見えませんが、日本の皆さんの支援が心の支えです」と話してくれました。

AARは治安状況を見極めながら、10月以降も同様の緊急支援を実施する準備を進めています。また、支援の輪を広げるために現地の障がい者施設への支援物資配付も検討中です。ミャンマーの障がい者や貧困世帯により多くの支援を届けるために、引き続き、皆さまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
▼緊急支援はこちらから
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