コロナ禍で減少した仕事。障がい者の生活を支えるために

【コロナ禍で減少した仕事。障がい者の生活を支えるために】

AAR Japan[難民を助ける会]は新型コロナウイルス対策緊急支援として、日本国内の障がい関連団体・障がい福祉施設・病院に対し、マスクや消毒液などの衛生用品に加え、職員のテレワークやオンライン会議の導入に必要な情報通信機器などを提供してきました。中でも衛生用品の需要は高く、病気や障がいのある方を支える全国的な組織と連携しながら、物資の配付を続けています。

お届けしたマスクを着用して作業に励む福祉事務所「ワークサポート篠ノ井」の皆さん(2020年5月28日)

コロナの影響を受けて企業活動が低下したことにより、障がいのある方が働く作業所などでは、取引先から受託する作業が減少。さらに、イベントの自粛などで利用者の方が手作りされた商品を販売する機会も失われました。利用者の方にとって生きがいである仕事が減ることで、精神面や体調への影響が心配されていました。各地域の障がい福祉施設が加盟する全国組織「きょうされん」や「日本セルプセンター」には、こうした事業所からの切実な声が多く寄せられていました。AARは検討を重ねた結果、 障がいのある方々に仕事の機会を提供するため、全国の福祉施設に配付するための衛生用品の梱包、発送作業を作業所に委託することにしました。 福祉施設の一つ「社会福祉法人東京ムツミ会 ファロ」は2020年4月に緊急事態宣言が発出された際、やむなく事業所を2カ月閉鎖。地域の清掃作業やメーカーからの封入作業などの依頼が減少し、生産活動に対して利用者の方々に支払われる工賃が減少したこともありました。作業所での仕事を創出するため、AARは同法人にマスク6,000箱(30万枚)の梱包と、福祉施設499カ所への発送作業を委託しました。

【生き生きと作業する利用者の方々】 

12月1日、同法人を訪れると、マスクが入った箱に汚れやつぶれがないか丁寧に検品される姿や、声をかけあいながら協力して作業される利用者の方々の姿が見られました。利用者の方からは、「発送用の段ボールにマスクを数量通りに並べて詰めるのが楽しい」「マスクの箱がつぶれていないかどうか、責任をもって確認します」といった声が聞かれました。同法人の施設長、徳堂泰作さんは「数を正確に数える、物をきれいに並べるなど多岐にわたる作業があります。利用者さんには得手不得手があるため、得意分野を担当してもらったところ、皆、生き生きとした表情で作業していました。検品作業を通じて商品を丁寧に扱うことの重要性や、納期を意識し、時間には限りがあることなども学ぶことができました」と話してくれました。

マスクの入った箱を丁寧に確認し、段ボールにつめる利用者の方々(2020年12月1日)

今後もAARは、全国の福祉施設への衛生用品の配付を継続します。その際には一部の物資の梱包や発送を作業所の方々にご協力いただくなど、ニーズに即した解決策を施設の方々とともに検討していきます。コロナ禍で先行きが不透明な中、こうした作業の委託が作業所における仕事の創出の一助になればと考えます。引き続き、障がいのある方々に寄り添った支援を行ってまいります。