障がい関連団体への物資配付を拡大:新型コロナウイルス緊急支援

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、AAR Japan[難民を助ける会]は4月以降、日本国内の障がい関連団体・障がい福祉施設に対し、マスクなど衛生用品の緊急配付を続けています。お届けしている支援物資の多くは、日頃からAARの活動を応援してくださっている企業・団体の皆さまから寄贈されたものです。全国に出された緊急事態宣言が一部解除されたものの、多くの福祉関係者は今も感染の危険と隣り合わせで奮闘しています。取り組みの現状を報告します。

【「マスク、涙が出るほどありがたい」】

 

マスクをお送りした、きょうされん加盟の障がい者就労支援事業所リサイクル洗びんセンター(東京都昭島市、2020年5月15日)

 

全国盲ろう者協会の皆さん「盲ろう者の生活は大きな影響を受けています。難しい一年になりそうですがご支援ありがとうございました」(2020年5月15日)

 

AARは日本障害フォーラム(JDF)、日本障害者協議会(JD)の協力のもと、加盟団体に必要な支援物資の調査を行い、計35団体にマスク、使い切りゴム手袋、保湿クリーム、あせもシート、ビタミン剤などをパッケージにして届けました(5月20日時点)。これらの製品は、エーザイ株式会社、株式会社オートバックスセブン、 ユースキン製薬株式会社の各社、および上海で活動する日本人ボランティアの会・互人多(Friend)からAARにご提供いただいています。大規模災害など通常の緊急支援では、物資配付は手渡しを原則としていますが、今回は感染拡大防止のために配送にてお届けしています。今後も製品がAARに届き次第、順次発送していく予定です。

全国では5月19日時点で1万6,367人の感染が確認され、768人が亡くなられていますが、基礎疾患や障がいのある方々は、感染した場合に特に重篤化する恐れがあります。マスク1万5,000枚をお送りした特定非営利活動法人「埼玉県腎臓病患者友の会」の場合、2,050人の腎臓透析患者の方々が月13回(週3回程度)の人工透析治療を受ける必要がありますが、その際マスクなしで透析室に入ることはできません。また、患者の8割が高いリスクを抱える高齢者の方々です。

友の会事務局からは「大量のマスクを購入しようにも、ドラッグストアに在庫がなかったり、価格が折り合わなかったり、大変困っていました。このような支援をいただいたのは初めてで、とても嬉しく感謝いたします」とのお言葉をいただきました。

 

日本訪問看護財団の皆さん「マスクと差し入れのお菓子ありがとうございます」(2020年5月12日)

 

精神障害当事者会ポルケ事務局の皆さん「地域の福祉事業所、野宿者支援グループ、精神科病院にもお配りします」(2020年5月15日)

 

このほか、「利用者に毎日提供するだけのマスクがなく、名前を書いたマスクを通所時に渡し、退所時に回収して、職員が毎日手洗いしています。政府から支給されたマスクは小さく、ほとんどの方が使用できません。今回いただいたマスクは非常にありがたく、大切に使わせていただきます。また、消毒のために手が荒れてしまい、保湿クリームも嬉しい限りです」(精神保健福祉団体)、「こうした時期なので、マスクが届いて涙が出るほどありがたく感じます」(腎臓病患者支援団体)、「マスクと一緒に入っていた差し入れのお菓子、何だかとってもほっこりしました。訪問から帰ってきた看護師が喜んでいました」(訪問看護団体)などの感謝の声とともに、「一日も早く新型コロナウイルス感染が収束しますよう祈るばかりです」という切実な思いが多数寄せられています。

 

【コロナ対応緊急支援にご協力ください】

 

障がい団体は全国各地にあり、必要性に加えて、公平性の観点からもまだまだ大量の支援物資が必要とされています。 AARは難民や障がい者への支援を従来実施しているトルコ、ウガンダ、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタン、バングラデシュ、ミャンマー、イタリアでも、現地事務所や関係者を通じて、コロナ感染拡大防止のための衛生啓発や情報提供、衛生用品や食料品の緊急配布などを行っています。こうした国内外での緊急支援活動は、皆さまからのご寄付、協力企業の物資ご提供によって実現しています。AARがコロナ対応緊急支援を開始して以降、多くの方々からご寄付が寄せられていることに深く感謝いたします。

AAR は政治・思想・宗教的に中立の立場で、国内外を問わず、支援から取り残されがちな人々を優先して支援活動を実施しています。日本を含めて、世界中の誰もが等しく新型コロナウイルスの脅威にさらされる今、互いの思いやりと連帯こそが、この未曽有の難局を乗り越える力になると考えます。皆さまからの温かいご支援・ご協力を重ねてお願い申し上げます。