ウクライナ:新時代のリサーチ手法で人権侵害を調査

3月12日、ハルキウ州イジュームの衛星画像。アムネスティは、公開されたストリートマップで学校や病院として報告されている場所の近くに、クレーターや建物の被害がはっきり映っていることを確認した。(C)2022 Planet Labs Inc.

 

アムネスティは、ウクライナでの民間人・民間施設への攻撃の特定と検証に懸命に取り組んでいます。それを担っているのがクライシス・エビデンス・ラボです。最先端のデジタルツールを使用して、リモートで人権侵害を調査・記録しています。調査員の現地入りが危険な状況や、偽情報や誤報が急速に拡散しうる時代において、エビデンス・ラボが担う役割は特に大きくなっています。

 

ラボでは、国際法違反の証拠を得るために音や映像の情報を収集し、分析しています。例えば、空爆などの攻撃や攻撃後の状況、兵器の残がいなどの衛星画像や動画、写真といった情報です。証拠を裏付けるために可能であれば、戦闘の目撃者への聞き取りも行います。

 

個々の攻撃を裏付ける証拠資料を徹底的、集中的に調べると同時に、さまざまな違反行為を突き止め、その傾向と、いつどこで何が起きたのかを時系列で示すことによって、全体を俯瞰することが可能になります。

 

なぜ攻撃の検証が重要なのでしょうか。主な目的は、各事案の正確な情報を提供し、紛争など逼迫した状況下でしばしば発生する誤報や偽情報と闘い、明らかにすることです。また、後に人権侵害の加害者の責任を問う際に証拠となる、信頼できる記録の蓄積という意味もあります。さらに付け加えるならば、エビデンス・ラボは、危機の影響を直接受けている人びとの物語を伝え、彼らの声が世界に届くよう支援をしているとも言えるのです。

 

▽ エビデンス・ラボの活動をもっと知る

https://www.amnesty.or.jp/news/2022/0404_9516.html