親を頼れない若者もボランティアも、読書やものづくりを通して心を通わせる 「孤立」を防ぐ新しい取り組み

 

ブリッジフォースマイル(B4S)では、虐待などで親を頼れず児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもたちや、そこから巣立っていった若者たちに寄り添った支援を20年以上行っています。
そんな私たちが、社会へ巣立った若者たちに対して防ぎたいと考えているのが「孤立」です。施設で暮らしていたときのように、同じような境遇の仲間は近くにおらず、親も頼れず、理解者も身近にいなければ、次第に孤立してゆき心身に支障をきたすケースもあります。

 

 

寂しいとき、不安なときに「あそこに行けば、頼れる大人や仲間がいる」と思ってもらえるような「気軽に立ち寄れる居場所」として、B4Sでは「B4S PORT あきば」(東京都・地域生活支援事業)、「B4S PORT よこはま」(横浜市受託事業)などの居場所を、全国5カ所で運営しています。

 

 

訪れる若者たちが一息ついて明日への英気を養っていけるよう、また困難な状況の未然防止や早期対応につなげられるよう、相談支援や食事・寄付品の提供を行いながら、B4Sのスタッフや社会人ボランティアが若者たちを見守っています。

 

現在、そんな居場所を活用して、親を頼れない若者やボランティア、B4Sスタッフたちが「孤立」に対して新しいアプローチをしています。

 

 

それは、本を通して心を通わせる「読書会」と、「ケアワークショップ(ものづくり)」の開催です。「ひとりの時間を愛そう」というコンセプトでさまざまな会を開催しています。ひとりの時間で行う読書やものづくりを通して得た気づきや成果を、この会でシェアすることで「自分の意見や解釈を言葉にして他の人に伝え、会話が広がったり、深まったりすることのおもしろさ」を体感したり、「人の考え方に触れることで自身の視野が広がること(=自己理解)」につなげたり、「新しい趣味の開拓」にもつながります。

 

「読書会」では、孤独やケアなどのテーマに沿った本をB4Sスタッフが選出し、それを読んできた若者やボランティアが本の感想をシェアしたり、感じたことを付箋に書き出しながら対話を重ねます。また、会のはじめにはグラウンドルールを共有し、安心した環境で自由に話せる場を作ることを大事にしています。

 

この会の大きな特徴は、若者たちとボランティア、B4Sスタッフが、年齢・所属など関係なく本を通してフラットな関係になれる点です。「支援を受ける側」「支援をする側」という関係ではなく、本を通すことで「読者同士」というひとつの関係になります。その中で、それぞれの背景や感じ方を共有することで、より互いの心を通わせることができるのです。

 

また参加者の中には本をすべて読んでいなくても、本の感想や意見を共有する空間で傾聴し、その内容から自分の意見をさらにシェアすることを楽しむ方もいます。仕事や学業以外のコミュニティで、人と関わる喜びを感じることができるのです。

 

 

 

参加者からは、

「普段はできないような哲学的なお話や、生きることについてのお話がいろんな方とできて楽しかった。みんな温かかったです」

「ひとつの本を通して、こんなにも多くの意見や解釈が出るのにびっくりしたし、自分の意見を肯定してもらえたり、意見を出してもらえたりして嬉しかったです」

「本を読まずに参加したが、皆さんの話を聞いて帰ってから本を読むのがとても楽しみになった」

「読書会を通して自分の考え方や物の見方のクセに気付くことができました」

 

というようなご意見をいただいております。

 

▶つづきは、こちら https://www.b4s.jp/post-10983/